[原子力産業新聞] 1999年11月25日 第2014号 <2面> |
[原産] 98年度原子力実態調査を発表売上17%減、受注残高は6%増に日本原子力産業会議は18日、1998年度の原子力産業実態調査結果をまとめ発表した。鉱工業の原子力関係売上高は電気事業の原子力発電所建設費が落ち込んでいることから2年連続の減少となり、前年度此17%減の1兆5,020億円となった。ここ3年の鉱工業の電気事業への売上比率も落ち込んでいる。また電気事業の支出高は1.2%の小幅な減少に止まり1兆6,963億円。一方、鉱工業の受注残高は大きく減少した前年度から持ち直し6%増の2兆4,135億円を確保した。こうした状況から原産では、電気事業依存体質に変化が生じており、市場構造の変化への対応を迫られていると分析している。 調査は98年度原子力関係の売上、支出、従事者の実績を持つ電気事業11社、鉱工業376社、商社32社からのアンケート調査を基にまとめた。 鉱工業の売上のうち電気事業への納入比率は93年度の78.7%を最高に減少を続け、今回は65%になった。原子炉機材・発変電機器の落ち込みが大きく影響している。売上を業種別にみると、機器メーカーと建設業は減少傾向が目立つが、原子力専業は2,000億円台と安定した売上傾向となっている。また鉱工業の受注残高は今回はやや回復しているが、近年大きく減少している原子炉機材と建設・土木部門が持ち直しており、「冷えきっている発電所建設市場に若干の明るさが窺える」と分析している。 電気事業支出のうち、設備投資に当たる建設費は2,642億円となり、前年度比16%減だった。また電気事業と鉱工業を合わせた原子力関係総従事者は2%増の5万6,228人だった。鉱工業の技術系従事者は98年度は2%増の2万6,210人となった。 技術者の確保については、実態調査で別途にアンケート調査を行っているが、今回のアンケート調査では回答企業数271社の52%に当たる企業が「量的な確保はできているが、優秀な人材の確保が困難」「質・量ともに確保が困難」と回答しており、「優秀な原子力技術者の確保という問題が浮上してきている現状が浮き彫りになった」と分析している。 今後の電気事業の支出見込みについては、98年度実績比で1年後は1.10倍、2年後は1.13倍、5年後は1.16倍と漸増傾向となっている。
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