[原子力産業新聞] 1999年11月25日 第2014号 <2面>

[長期計画] 第2分科会、核燃サイクルの論点を提起

新エネ比較でも議論

原子力委員会の長期計画策定会議第2分科会(エネルギーとしての原子力利用)は17日、第3回会台を開き、前回に続く新エネルギーとの比較からみた原子力利用についての議論のほか、今後の議題となる核燃料サイクル政策についての論点が、委員の宅間正夫原産会議常務理事から提起された。

新エネとの比較で内山洋司電中研上席研究員は、開発途上国でのエネ消費の増大を見込み、先進国での省エネ社会の実現、グローバルな視点からのエネ・セキュリティ確保を訴える一方、風力・太陽光発電の可能性について日本では、130万キロワット級の原発1基の電力を得るためには風力540万キロワット、太陽光900万キロワットの設備を要し、その建設にはそれぞれ100年、300年もかかることを説明した。また太陽光の場合、日照条体のよいカリフォルニアに設置すれば、日本の倍の電力が得られることを例に挙げ、新エネの効率はその立地点に依存すると結論付けた。

同氏はまた、「スウェーデンが原発廃止を決めて20年経ってもまだ廃止できないのは代替エネ開発がいかに難しいかという教訓」と述べ、当面の原子力エネの必要性を示唆した。また、佐和隆光京大教授は、「30、40年経つとどういう技術が出てくるかわからない」と述べ、色々とエネ源としての可能性を追求していくべきだと述べた。

続いて宅間委員は、核燃料サイクル政策についての論点を、1.ウラン資源、2.ウラン濃縮、3.再転換・ウラン燃料加工、4.MOX燃料加工、5.プルサーマル、6.使用済み燃料の中間貯蔵、7.軽水炉使用済み燃料再処理、8.放射性廃棄物、に分類し、電力市場自由化に伴う生産工程の効率化やコスト削減、廃棄物による環境負荷低減を図る必要性などを指摘した。同分科会では今後、これらについて議論していくことになった。

次回は来月13日、原子力産業の在り方についての検討に入る予定。


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