[原子力産業新聞] 1999年11月25日 第2014号 <3面>

[ドイツ] 電力株の売却で、仏電力公社と交渉へ

ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州政府は15日、保有していたエネルギー・ビュルテンベルク社(EnBW)株25.01%の一部売却先としてフランス電力公社(EDF)を選択した。

これは同日にEDFが発表した声明で明らかになった。ドイツで第4位の電力会社であるEnBW社は、フィリップスブルク原子力発電所のPWR2基を所有するほかオブリッヒハイム原子力発電所の大株主としてドイツの総発電電力量の1割にあたる458億キロワット時を供給している。欧州のEnBW社株売却に対するEDFの正式な入札申込み書はすでに2日に提出されており、今後は売却株数や価格について独占的な交渉が進められることになった。

この取り引きの成立はドイツ国内および欧州電力市場におけるEnBW社の立場が強化されるだけでなく、脱原子力政策が進められているドイツ国内にフランスが所有する原子力発電所からの電力が出回ることを意味している。その上フランスは、国内電力市場の段階的な自由化を定めた欧州連合指令の国内法への組み込みが完了しておらず、未だにEDFの国内市場独占に近い状態にあることから、今回の株売買は政治的な問題に発展しつつあるとの見方も伝えられている。


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