[原子力産業新聞] 1999年11月25日 第2014号 <4面>

[理研、原研他] 3次元電子顕微鏡を試作

固体のナノ構造観察

理化学研究所はこのほど、原研、名古屋大、工学院大、日立と共同で固体内部のナノ(100万分の1ミリ)構造を立体的に観察することができる「3次元電子顕微鏡」の試作に成功した。

この電子顕微鏡はX線による人体の断層撮影技術(X線CTスキャン)のように、電子線を試料に対して様々な角度から照射して撮影した数万倍以上の電子顕微鏡を複数枚用い、それらを画像処理して立体化するもの。また試料を透過した電子エネルギーを分析することにより、ナノ領域の原子の種類や結合の状態を解析することもできる。

今回の立体観察は、"おしろい"の主原料の一つである酸化亜鉛(ZnO)の微粒子を3次元画像で表示した。これによりミクロの世界のテトラポッド(消波ブロック)のように非常に規則的な立体形状をもっていることが分かった。今後、この試作装置を2001年までにさらに高性能化する予定で、原子レベルでの新材料・デバイス内部の立体観察や分析が飛躍的に加速することが期待されている。


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