[原子力産業新聞] 1999年12月2日 第2015号 <1面> |
[サイクル機構] 高レベル廃棄物地層処分の技術的信頼性 「第2次取りまとめ」を公表「長期的安全性は確保」と結論核燃料サイクル開発機構は11月26日、「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性−地層処分研究開発第2次取りまとめ」(2000年レポート)を取りまとめ、原子力委員会に報告した。2030−40年代半ばまでに処分事業の開始が計画されている高レベル廃棄物の処分事業に向けて技術的拠り所を得ることを目的にまとめたもので、地層処分研究開発の集大成ともいうべきもの。報告書では、1.地層処分が行える地質は我が国に広く存在する、2.処分を行うことができるかどうかを評価する方法が開発された、3.人工バリアや処分施設を設計・施工する技術が開発された、4.長期間の安全性を予測的に評価する方法が開発された、ことなどを詳細に記述しており、処分に向けて技術基盤が整ったと結論付けている。今後は原子力委でこのレポートの評価が開始される。 技術的に事業化可能「2000年レポート」は92年に公表した「第1次取りまとめ」に続くもので、原子力委が求めている「わが国における地層処分の技術的信頼性」を示し、「処分事業を進める上での処分予定地の選定、安全基準の策定の技術的拠り所を与える」とともに、2000年以降の研究開発の具体化に資するものと位置づけられている。内容は「総論レポート」と「わが国の地質環境」「地層処分の工学技術」「地層処分システムの安全評価」の3つの分野に対応する3分冊および別冊「地層処分の背景」から構成。 まず我が国の地質環境については、地質環境に長期にわたって影響を及ぼすと見られる地震・断層活動、火山活動、気候・海水変動などの活動の歴史や地球科学の観点から研究することによって、将来10万年程度の期間について地層処分の場としての地質環境の長期安定性を論ずることが可能となったとし、我が国の地質環境は火山や断層などの影響範囲を除げば、広い範囲で地層処分システムに期待される機能を有していると結論付けている。 また工学技術では、現在の技術レベルで人工バリア等を含む処分場を設計し、建設・操業・閉鎖を合理的に実施することが可能だとした。安全評価分野では、様々な研究施設での研究成果に基づき、安全強化モデルを整備。その手法を基に処分システムの安全性を総合的に評価した結果、色々な不確実性を考慮しても廃棄物が人類環鏡に及ぼすと想定される影響は、諸外国で提案されている安全基準に示された防護レベルを下回ることを確認したとしている。 2000年レポートは関係機関、専門家らによる「地層処分研究開発協議会」による技術的検討結果も反映しており、2度にわたるドラフト整理のほか、報告会開催やホームページによる公表、意見聴取の後、0ECD/NEAによる国際レビューなどを経て、まとめられた。 同レポートは同日の原子力委員会に報告され、その中で中曽根弘文委員長は、引き続き関係機関協力のもと研究が進められることを期待し、「深地層研究所」についても早期の実現を求めた。
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