[原子力産業新聞] 1999年12月2日 第2015号 <1面>

[科学技術委員会] 災害措置法・炉規制改正、両案、衆院で可決

公聴会を開催

衆議院の科学技術委員会(委員長・北側一雄氏<公明党改革クラブ>)は11月24日、原子力災害対策特別措置法と改正原子炉等規制法の2法案について審議。小渕恵三総理大臣に対する質疑応答で、資源少国日本でのエネルギー開発の重要性など、政府の見解が示された後、両法案は安全規制の徹底や、防災活動の円滑、的確な実施を図るため、国を始め関係機関等が努力すべきなどとする附帯決議と併せて可決した。両法案は翌、25日に本会議で可決され、参議院に送られた。

科技委では24日午前、採決の前に公聴会が開かれ、4名の公述人による意見陳述が行われた。まず最初に陳述した能澤正雄高度情報科学技術研究機構顧問は、TMI事故や「もんじゅ」事故以降の国の原子力防災対策への取り組みを振り返り、両法案を評価する一方で、事故の第一報が遅れることのないようしっかりした防災体制が組まれていくことを求めた。

続いて村上達也東海村村長が意見を述べ、今回のJCO事故現場を有する自治体首長としてまず、初動対応の遅れを指摘し、政府、事業者らの住民保護の意識を据えた防災整備、臨界を想定した安全対策を求め、事故後の風評被害についても原子力を国策としてきた政府にも責任があるとして、積極的な対応を要望した。

また、森一久原産会議副会長は事故直後に原産として関係者の自己改革を求める声明文を発表した経緯や「ニュークリアセイフティネットワーク」設立など安全確保へ向けた産業界の動きを説明するとともに、風評被害対策には全力で取り組むべきこと、放射線に対する必要以上の不安感を煽らぬよう正しい知識の普及の必要性を指摘した。

角田道生原子力問題情報センター常任理事は、改正炉規法で新たに設けられる違法事実の主務大臣への従業者からの申告制度について、「緊張感を生む」と評価する一方で、米国では原子力規制委員会への違反申告が年数千件もあることを挙げて、その規制機関としての強さを説き、同制度の適用範囲の拡大や違反企業への罰則など検討し、実効性ある法整備を期待。加えて、特措法について、「一番大事なのは住民との信頼関係」とし、防災計画策定時に公聴会開催等で住民の声を反映させることにも言及した。これらに対し、委員からは原子力安全委員会の機能強化を求めるなどの意見がでた。


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