[原子力産業新聞] 1999年12月2日 第2015号 <2面>

[原子力部会] HLW、処分費用3兆408億円に

原子力部会見積もリ値を試算

総合エネルギー調査会の原子力部会(部会長・近藤駿介東大教授)は11月24日、第69回会合を開き、高レベル放射性廃棄物処分費用の見積もりを算出。処分費用は総額で3兆408億円になるとの試算値を明らかにした。

高レベル放射性廃棄物処分費用について、同部会は今年3月に「合理的見積もり」として代表11ケースを想定し、「コストは総額で2兆7,000億〜3兆1,000億になる」とする中間報告書を取りまとめていた。

今回提示された見積もりは、2000年に処分実施主体が設立されて原子力発電事業者からの資金拠出が行われるためには、早急に費用を確定し、拠出額の算定を行うことが必要なことから、サイクル機構が11月中にまとめる技術的検討(第2次とりまとめ)といった最新の技術的知見を踏まえて、中間報告書の代表11ケースを「やや安全サイドにふった」(事務局)基準で設計仕様などを綴り込むなどして算出したもの。

見積もりでは、サイトが決定していないため軟岩系(堆積岩)に処分する場合と、硬岩系(花崗岩)に処分する場合の2ケースについての処分費用の算出を実施。1.軟岩系に深度500メートルに処分場を選定した場合には3兆1,241億円が、2.硬岩系として深度1,000メートルに処分揚を選定した場合には2兆9,575億円が、それぞれ必要との結果を得たことから、両ケースの平均である3兆408億円を処分費用としている。なお、中間報告書ではサイト選定プロセスを5地点から絞り込むことを想定していたが、今回の見積もりでは10地点から絞り込む方式へと、より慎重にサイト運定をする前提に立ったことから、両ケース共に、その分の調査費用などの増加額(729億円)が上乗せされている。

また地域共生費については、「立地地域において地域共生の具体的方策が決定された時点において、適切に処分費用に含めることが適当」とされている。

一方、この試算値に基づいた原子力発電電力量1キロワット時当たりの処分単価だが、割引率を考慮しない場合には29銭/キロワット時、同2%で14銭/キロワット時、3%で11銭/キロワット時、4%では9銭/キロワット時との試算結果が算出されている。

なお会合で、委員から「2000年に設立が予定されている実施主体の現状は」との質問が出されたが、これに対し事務局側は、次期通常国会に高レベル放射性廃棄物処分の法案を上程する予定であり、法案が無事通過した際には2000年中に認可法人の実施主体を設立する方針であることを明らかにした。


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