[原子力産業新聞] 1999年12月2日 第2015号 <2面>

[JCO臨界事故] 科技庁、事故調査委員会で調査結果を説明

JCO、社外用議事録作成等、明らかに

原子力安全委員会のウラン加工工場臨界事故調査委員会の第7回会合が11月26日、開かれ、事故当時の沈殿槽使用に係わる経緯について調査を行った科学技術庁が説明を行った。

それによると、JCO自身が社内調査して明らかになった、1.9月28日、精製八酸化三ウラン粉末製造が終了し、作業員3名が沈殿槽を洗浄。この際3名の間で「沈殿槽をきれいにすれば製品溶液を入れても問題はないのではないか」と提案、2.同29日、副長に対して1名が「沈殿槽の使用について早く許可を取ってくれ」と要請、3.副長は「ウラン溶液攪拌作業に沈殿槽を使用して、ウラン溶液を投入しても問題ないか」と製造部計画グループ員に問合わせし、「大丈夫だろう」との趣旨の返事を得た、という経緯について、科技庁では副長から問合わせを受けた製造部のグループ員(核燃料取扱主任者免状保有)に事情聴取を行ったところ、「大丈夫」との返事をした理由について、軽水炉用燃料の加工施設では濃度管理が行われ、軽水炉用の5%低濃縮ウラン溶液を沈殿槽に入れる場合に前段で濃度管理されており、臨界にならないことが頭に浮かび、転換試験棟の沈殿槽でも臨界にならないと判断した、との説明を受けたとしている。一方、科技庁は1995年9月に開催されたJCOの「安全専門委員会」の内容について調査した結果も報告した。

同委は保安規定に基づき設置されたもので、安全主管者、核燃料取扱主任者等で構成。許可上の溶解塔での使用をバケツで代用することについて、許可上の管理方法とどのように違うかなど同社が作成した実態調査結果表を基に検討している。そこでは「実操業の操作方法は加工事業許可に記載されている臨界管理の方法と異なるが単一ユニット及び複数ユニット的に臨界上問題にならないことが確認された」と社内に報告されたことが分かった。また同委は「転換試験棟については品質管理、臨界管理の方法、被曝管理について製造部だけでなく社内的に取り組む必要がある」とも指摘していた。

なお、JC0では同委の議事録を社内用と別のものを作成し、後者には同試験棟の臨界管理方法についての議題が削除されていることも明らかになった。


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