[原子力産業新聞] 1999年12月2日 第2015号 <3面> |
欧州委員会、電力市場開放で仏に通告国内手続きに遅れ電力公社は自由化を歓迎 欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(EC)は11月24日、フランスとルクセンブルクでEU域内電力市場の段階的自由化を定めたEU指令の国内法への組み込みが遅れているとして両国に釈明を求める正式通告を出すことを決めた。 欧州議会および閣僚理事会による96年指令では、加盟各国が発・送電事業を段階的に開放していくことを目的とした共通条項が定められており、特例措置が認められた3か国以外は今年2月19日までに同条項の国内法への組み込み手続きを取ることになっていた。これまでに10か国が手続きを終え、ECへの報告を済ませた一方、フランスおよびルクセンブルクでは期限までに作業が完了しなかっただけでなく、その旨に関するECへの説朋も滞っていた。 フランスでは国民議会で承認された改正法案をECに提出済みとなっていたが、10月に入り上院がこれを一部修正。11月18日の協議委員会で共産党が仏電力公社(EDF)による公共サービスの役割を強く主張するなど、修正内容で両院が合意に達することはできなかった。このためECはEC条約第226条に則り、2週聞以内に状況を説明するようフランスに求める書簡を送ることになったもの。フランスの説明内容によっては、また、同国から期限以内にしかるべき説明がなかった場合、ECは同国に意見書を送付する権限も有している。 ルクセンブルクでも既にEU指令条項を国内法に盛り込む案文の提出は済んでいたが、今後国家審議会の答申を待って下院がさらに案文を審査しなければならない。 なお、この件に関してEDFは、両院協議委員会での協議が失敗に終わったあとの22日に声明を発表していた。EDFはまず、「国内市場開放の遅れにより同公社が利益を得ている」と批判されている点を指摘。協議会で確たる成果が出なかったことに遺憾の意を表明するとともに、EU指令の採用がこれ以上遅れれば深刻な事態に発展するとの危惧を示し、同社が仏政府の出資による公共企業体である以上、フランスがECから警告を受けることに無関心ではいられないとの考えを明らかにしていた。 また同公社としては欧州のエネルギー市場において大きな役割を果たすことに大いに意欲を持っていると述べ、競争市場にフルに参加しつつ、フランスにおける公共サービスのさらなる改善に努めることを希望していると強調。EDFが恐れているのは、同公社の企業イメージが損なわれ、競争市場に対するEDFの意欲と参加能力に疑問が投げかけられることだけだとの見解を示している。
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