[原子力産業新聞] 1999年12月2日 第2015号 <3面>

スペイン、トリリョ1号機、認可延長を勧告

スペイン規制当局、既存炉は有効利用

11月19日付けの報道によるとスペインの原子力規制当局(CSN)はこのほど、トリリョ原子力発電所1号機(106万6,000キロワット、PWR)の運転認可を5年間延長するよう産業省に勧告した。

CSNはこれまで、運転認可の延長期間を通常2年としてきたが、近年は原子炉の保守や性能改善などに時間がかかるケースを考慮し、延長年数を長く設定する傾向にある。今年初頭に10年間の認可延長を許されたサンタ・マリア・デ・ガローナ原子力発電所(46万6,000キロワット、BWR)はその最初の例だ。

トリリョ1号機の認可延長勧告にあたり、CSNは同炉の操業実績を継続的に監視していただけでなく、「運転経験とシステムの分析(AEOS)」と呼ばれる徹底的な修理プログラムが今年2月に完了するまでの実施状況もつぶさに審査してきた。また、同炉では今後、スペインのすべての原子力発電所に課されている確率論的安全分析(PSA)を含む定期安全審査が義務づけられることになる。

スペイン政府は環境保全における原子力の効用を正式に認めており、既存原子炉の運転認可延長や出力増強は昨年11月に初めて議会に提出された政策案に沿った形で実施されている。これまでにサンタ・マリア・デ・ガローナのほかコフレンテス発電所(102万5,000キロワット、BWR)とアスコ2号機(97万6,000キロワット、PWR)で性能改善作業が行われ、合計で5万1,600キロワットの出力増強を達成。昨年1月からは電力会社の共同行動計画に従ってさらなる性能改善も実施されている。


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