[原子力産業新聞] 1999年12月2日 第2015号 <4面>

ソニー木原研、並列計算機を開発

内部構造を立体画像化、非破壊検査など応用に期待

ソニー木原研究所(東京都品川区、木原信敏社長)はこのほど、CTスキャナーから得られた画像データを高速で3次元化する画像再構成・表示技術と高速演算処理を実現した並列コンピュータを開発した。

これにより検査対象の内部構造を3次元画像として表現し、機材等を分解することなく詳細な情報を得ることができることから、工業製品の非破壊検査・解析等、幅広い分野での応用が期待される。

従来の2次元CTスキャナー画像は、被写体の輪切りとなる方向からX線を照射し全周囲にわたってX線透過データを得た後、コンピュータで演算処理を行い2次元画像として再構成されるが、この過程において行われる演算処理では多くのCPUパワーが必要となっていた。一方、被写体の内部構造をより具体的に表現するためには3次元画像が不可欠でその需要拡大が予想される。しかし、3次元画像を再構築するためには2次元画像を得る場合に比べて遥かに膨大な量の演算を処理するスーパーコンピュータ並みのCPUパワーが必要となり、従来のパソコンで利用されている最高速のCPUパワーでも処理時間が数時間におよぶため高速技術の開発が求められていた。

同社はこれに対応するため同システムにおいて78個のプロセッサを搭載、1秒間に1,000億回の演算ピーク性能を実現した。

3次元画像の再構成において最新のパソコンで8時聞以上かかる演算処理を4分程度で行うことができる。実際に3次元画像を用いた非破壊検査装置に応用した結果、試作機による効果の実証が得られたという。


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