[原子力産業新聞] 1999年12月9日 第2016号 <2面>

原研、核融合テーマに成果報告会

ITER立地でペラ議長「日本は非常に重要」

日本原子力研究所は11月30日、「核融合研究の進展」をテーマとする成果報告会を東京国際フォーラム(東京・丸の内)で開催、国際熱核融合実験炉(ITER)実現に向けた研究成果を披露し、、その中で特別講演を行ったR.ペラ欧州原子力共同体核融合計画諮問委員会議長は、わが国の核融合研究実績を高く評価するとともにITER立地点としても「非常に重要」との認識を示した。

開会に当たって松浦祥次郎理事長は、原子力のエネルギー開発とその持っている技術的可能性を、他分野へも応用していくことが原研の大きな使命だとし、核融合についても安全で経済的な長期にわたって利用できるエネシステムとして、研究を進めていく必要性を訴えた。

技術報告では、現在2001年まで延長することになったITER計画工学設計活動(EDA)が進められている中、中心ソレノイドコイルやブランケットの設計変更、建屋内の機器配置の集約など、コンパクト化によりコストを半減しても実験装置としての役割を十分果たせることを紹介。その他、ITER実現へ向けた放射性物質閉じ込めに重点を置いた安全確保、大型超伝導コイルの開発、プラズマ科学の展望について報告した。また、今回招聘された中澤佐市科技庁長官官房審議官は、ITERの国内誘致について、EDAの完了等所要の環境整備が図られた上で、参加極のコスト分担など進捗状況を踏まえ、適切な時期に行いたいとの見解を示すとともに、同庁と文部省との統合については、原研と核融合科学研究所ほか大学との連携のもと、より効率的な研究開発が期待できるとした。

続いて、ペラ氏は核融合分野での国際協力の拡がりを説き、その中でわが国のトカマク型装置「JT-60」を高く評価する一方、ITER計画実現を目指し、トカマク「JET」の共同利用を定めた開発協定締結など欧州内でも積極的なことを紹介。さらに、2001年頃までにサイトを決定する必要性を指摘し、その考え得る国として日本の他、カナダ、伊を挙げ、立地国にかかわらず、他国の参画も求めていくには核融合の安全性・経済性、エネ源としての重要性を示すため、「待っている時間はない」と強調した。ペラ氏は今後の重要事項は、各極の議会間レベルでの具体的な話し合いにあるとし、日本の議員らとの対話も必要だと述べた。


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