[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <2面> |
原子力委・バックエンド専門部会 長寿命核種分離研究の方針示すオメガ計画新段階へ、2方式を進め、5年後に評価原子力委員会のバックエンド対策専門部会は11月30日の会合で、「長寿命核種の分離変換技術に関する現状と今後の進め方」と題する報告書案を取りまとめた。同報告書は、この技術は「核燃料サイクルヘの分離変換技術システムの導入シナリオを示」、そのためのシステムを設計し、必要な要素技術を確立すること」だとし、当面は、1.高速増殖炉サイクルを中心とする燃料サイクルの中で発電と核変換を行うという「発電用高速炉利用型」、2.加速器と未臨界炉等を組み合わせた核変換サイクルと商用発電サイクルの2サイクルを独立させた「階層型」、の二つの技術開発を進めるとしている。 分離変換技術は、再処理によって出てくる高レベル廃棄物中に含まれるネプツニウム、アメリシウム、キュリウムのようなマイナーアクチニド(MA、超ウラン元素)とヨウ素129、テクネチウム99、セシウム135などの長寿命核分裂生成物を分離し短寿命核種や非放射性核種に変換するもので、この技術は従来は「群分離・消滅処理技術」と呼んできた(現在はこの用語は使わない)。分離変換することで高レベル廃棄物の量を激減できるだけでなく、高放射能核種も低放射化することが可能となる。 我が国では1988年度から「オメガ計画」というプロジェクトの下に、原研、サイクル機構、電中研が研究を実施し、すでに世界の先導的役割を果たしている。これまでの成果は、1.原研は廃液に含まれる元素をMA、テクネチウム・白金族、ストロンチウム・セシウムおよびその他の4群に分離する4群群分離法を開発。MAの回収率は99.95&を確認、2.サイクル機構は改良PUREX法、TRUEX法等によりMAを分離、電解採取法でテクネチウム・白金族を分離の三つの組み合わせ方法を開発、3.電中研は塩化物および液体金属を用いた還元抽出法を開発。TRUを99%以上回収できることを確認、等の実績を挙げてきた。 核変換サイクルの基本的考え方については、原研は階層型で、これはそれぞれのサイクルが独立に最適化を図ることができる。サイクル機構と電中研は発電用高速炉利用型で、FBRを中心とする一燃料サイクルの中で発電とMA等の核変換を同時に目指す。3機関とも設計・要素技術開発段階にあり、原研は加速器駆動未臨界炉(ADS)と専焼高速炉(ABR)の概念を開発。またサイクル機構はMOX燃料FBRを開発している。「もんじゅ」ではMAが燃料に含まれることに伴い要素技術開発を必要としている。電中研は金属燃料FBRの概念を開発している。 今後は原研と機構・電中研の二つのシステムの技術開発を進め実現性のある核燃料サイクルヘの導入シナリオの検討が必要としているが、これらは5年程度を目途にチェック&レビューを行うことを求めている。 報告書は、こうした研究によって新たな技術へのブレークスルー、若い技術者に対する魅力のアピール、原子力研究の活性化につながることも期待している。
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