[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <2面>

長計策定第6分科会

共同プロ推進に貢献

国際機関の活用等議論

原子力委員会の長計策定会議第6分科会(座長・下山俊次日本原子力発電最高顧問、田中直毅21世紀政策研究所理事長)は10日の会合で、今後の国際協力に向けての国際機関活用のポイント、欧米・ロシアとの対応のあり方について、論点整理を行った。

まず、国際機関の活用について植松邦彦核燃料サイクル開発機構特別技術参与は、その中立・普遍性という性格から条約等を国際的に均一なものとして履行させるとともに、一国でできない保障措置の問題など、共同プロジェクトの推進にも貢献するとして意義を訴えた。加えて、人と人とのコンタクトの揚であることから、情報伝達がスピーディーになされるようそれら事務局等に人材を派遣することが重要とも指摘。また策定会議事務局より核不拡散に係わる国際協力について、核テロリズム防止に向けた新しい条約作りの動向などに、産業界も一層関心を高めるべきといった論点が示された。

米・西欧との対応について、相澤清人サイクル機構理事は米を「世界最大の原子力発電国」とみて、安全性分野にも及ぶ高い技術を持ち、グローバル・自由化のトップランナーであることから、引き続き注目すべきとした。また、仏を「再処理、高遠炉開発を含め欧州で最大の原子力発電国」として、同国の高レベル廃棄物方策等近年の政策を見据えるとともに、従来の協力を一層発展させていくほか、欧州全体の核燃料サイクルの動きにも着目すべきなどと論点を提示。これに対し、舛添要一氏(舛添政治経済研究所所長)は最近の渡欧経験を踏まえ、独の脱原子力政策など昨今の情勢から「『環境政党』と組まないと政権がとれない」と指摘し、環境問題が全世界的なトレンドになっていることを述べた。また、欧州では86年のチェルノブイリ事故の影響が大きいことを挙げ、わが国のJCO事故に関しても「第二のチェルノブイリのように捉えている」と危倶した。

続いて、旧ソ運諸国との対応について渡邊幸治経団連特別顧問は、かつて同国が軍事大国だったことから余剰兵器プルトニウムの管理・処分等が問題になっているが、わが国への技術上の発展に寄与する面もあると期待を述べた。一方で、ロシアとの平和条約締結など今後の友好関係が、対米・中との関係を築くのにも重要だと課題を示した。


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