[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <5面> |
化研、医用核種、高放射性廃液から回収発熱元素も除去化研、サイクル機構の募集事業で開発へ 化研(水戸市、蓼沼克嘉社長)は、使用済み核燃料の再処理に伴い発生する高放射性廃液の中から、がん治療等に有効な核医学診療用資源を回収する処理技術を開発する。 これま核燃料サイクル開発機構の今年度原子力関連技術成果展開事業として採択されたもので、高放射性廃液のガラス固化処理の際に問題であったセシウムやストロンチウムなどの発熱元素を除去しながら、モリブデンやテクネチウム、ストロンチウム、コバルトなどがんや甲状腺治療等医療面で有効な核種だけを取り出す技術。 同技術は、抽出された高放射性廃液を、1.還元剤を添加して還元溶融させ、医療用核種を揮発回収する、2.脱硝処理で沈殿物を除去した後、医療用核種を仮焼体回収する、の二つの方法により回収した医療用核種を精製して高純度化した後、医療利用する。 また、これら処理の過程で発熱元素を除去。発熱元素を含まないガラス固化体が実現できるため、従来のガラス固化体の50%という高減容化が実現できるという。 この回収プロセスが確立すれば、核医療診断のための放射性医薬品の国産化が図れるとともに、これに伴う新たな核医学診療関連ニュービジネスの創出といった経済的メリットもある。 また同技術は医学面の貢献だけでなく、発熱元素を含まない高減用化ガラス固化体が可能になることで、固化体保管時の安全性向上、貯蔵地や処分地の面積を半減できるなど高放射性廃液の処理処分にかかる経費も30〜50%削減できる。同社は今回の開発にあたり、廃棄物の低コスト化、コンパクト化など原子力の社会的信頼の回復や向上につながるものとして取り組む方針だ。
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