[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <6面> |
NEI-insight嵐でも安全な場所−ハリケーン「フロイド」に耐えた南東部の原発9月、ハリケーン「フロイド」が東海岸に上陸した際、その進路にあった原子力発電所では準備にぬかりはなかった。 フロリダ・パワー&ライト社のジャニス・ブレイディは、「もし私の家が、セントルーシー原子力発電所と同じようにハリケーンに対して防備をかためていたら、何も心配することはなかったろう」と語っている。フロリダの東海岸にあるセントルーシー原子力発電所は、時速195マイルの風速を持った、カテゴリー5に分類されるハリケーンにも耐えられるように設計されている。 ハリケーンの襲来に備え、万が一の場合、同発電所を完全にしかも容易に停止できるよう出力が33%に下げられた。しかし、実際には、フロイドはセントルーシー発電所を避け、サウスカロライナとノースカロライナの2つの州に向きを変え、カロライナ・パワーライト社のブランズウィック原子力発電所に矛先を向けた。 ブランズウィックを直撃ブランズウィック原子力発電所は、ノースカロライナ州のケープフィア河の河口に位置している。この地域は、これまでたびたびハリケーンの直撃を受けている。同発電所では、フロイドの進路の監視や職員の重要な任務の監督だけでなく、必要な場合には一般の人達が避難できるようにするためチームを編成した。 ハリケーンの暴風域の到来が2時間後に迫った時点で、連邦規則の規定にしたがい、発電所の運転が停止された。フロイドは時速120マイルで猛威をふるい、タービン建屋のアルミ製の羽目板が一部ひきちぎられたが、時速150マイルの暴風にも耐えられるように設計されている、原子炉を防護している強化コンクリートとスチール製の格納構造物は何の損害も受けなかった。 しかしながら、フロイドの余波で大洪水が起こったため、発電所の多数の従業員は仕事につくことができなかった。広報部長のアン・メアリー・カーリーはノースカロライナ州兵と連絡をとり状況を説明、すぐに多目的車両を使って発電所に職員の移送が行われた。 東海岸にあるもう一つの原子力発電所、つまりマイアミの南にあるフロリダ・パワー&ライト社のターキーポイント原子力発電所は7年前、カテゴリー4に分類されるハリケーン「アンドリュー」の直撃を受けた。時速145マイルの風速を保ち、瞬間的には175マイルを記録したハリケーンの中心部が発電所をよぎった。通信システムの破損など、発電所の外側ではかなりの被害があったが、安全に関連したシステムは影響を受けなかった。同発電所は、時速225マイルの風速を持つカテゴリー5に分類されるハリケーンにも耐えられるように設計されている。 ここから言えることは、ハリケーンがきても原子力発電所は最も安全な場所の一つであるということである。
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