[原子力産業新聞] 2000年1月5日 第2019号 <2面> |
[三菱重工] 中間貯蔵用キャスクを開発鋼板コンクリート製、ドラフトカ利用の冷却三菱重工業は12月15日、原子力発電所から発生する使用済み燃料(リサイクル燃料)中間貯蔵用に適した「コンクリートキャスク」の開発および、原子力発電所などの様々な保全活動の信頼性向上のための施設、「総合保全訓練センター」を完成したこと発表した。 同社が金属キャスクにおける設計・製作実績およびコンクリート構造物に関する幅広い技術を結集させて、このほど試作機を完成させたコンクリートキャスクは、昨年6月に成立した改正炉規制法(今年6月施行)により、2010年頃を目途に事業開始が可能となった中間貯蔵をにらんで、同社がPWRのリサイクル燃料中間貯蔵用に開発したもの。キャスクのサイズは外径約3.5メートル、高さ約6メートル、重量約120トンという巨大なもので、厚さ80センチの円筒形の鋼板コンクリート(鋼板製の内外面の間にコンクリートを充填する構造)で放射線を遮断する壁面を構成。その中に金属容器に封入されたリサイクル燃料を収納する。 このキャスクの主な特徴として同社は、1.24体以上の「高い収容能力」、2.鉄筋コンクリート製および金属製のキャスクと比較して「経済性が高い」、3.外気にコンクリートが触れる事によって起こるひび割れがでないなど「高い信頼性」を誇る−などを挙げており、耐用年数は約40年。またリサイクル燃料から発散する熱対策については、キャスク下部に開けられた空気口から入った冷気が燃料側面を冷却しながら上部空気口へ抜ける「ドラフトカ」を利用した冷却方法が採用されており、同社ではリサイクル燃料を模した発熱体からの熱を利用して温度測定、空気の流速などの計測といった試験を中心とした、キャスクの性能試験を今年度中には実施する計画だ。 一方「総台保全訓練センター」は、PWR型ユニットを持つ原子力発電所などの保守、補修、大型機器の取り替えなどといった、様々な保全対策の信頼性向上を目的とする、1.新技術を活用した各種装置の技術開発、2.機能検証、3.作業員のトレーニング−などを行うための施設。二階層構造の建屋の内部には、80万キロワット級PWRを模した実物大の原子炉容器、炉内構造物などが備えられている。 三菱重工では、このセンターを活用してPWRの多様な設備保全技術の開発・検証・トレーニングを行うことを計画しており、すでに高経年化対策の実証試験として、NUPECとの協力によるPWR炉内構造物取り替え工法の実証試験が、今年9月までのスケジュールで同施設を利用して行われている。
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