[原子力産業新聞] 2000年1月5日 第2019号 <3面>

[イタリア] 閉鎖炉の解体計画を公表

放射性廃棄物、10年で処分場建設、サイトは20年以内に緑地化

12月20日付けの報道で、イタリア政府が国内で閉鎖した原子炉4基すべての解体と放射性廃棄物処分場の建設を今後20年の間に6兆リラ(3,300億円)の予算で実施する計画であることが明らかになった。

この計画は、昨年秋に一部民営化した国営電力であるENEL社が同社の原子力発電所管理部門を引き継ぐ子会社としてSOGIN社の設立を発表した直後にP・ベルサニ産業相から公表された。これらにより、87年の決定に従って90年までに相次いで閉鎖した4基、147万6,000キロワットの原子力発電設備を長期的に管理していく方針がようやく明確になった。産業相が示した計画の3つのポイントは次の通り。

1.閉鎖した発電所敷地内で貯蔵されているすべての液体、固体廃棄物は、将来、国営の放射性廃棄物処分場に輸送することを念頭に置いて10年以内に処理・調整する。
2.低・中レベル放射性廃棄物を処分する国営処分場のサイト選定と建設作業も10年以内に実施する。このサイトは高レベルで長寿命の放射性核種、特に使用済み燃料や再処理後に出てくる廃棄物の暫定貯蔵にも利用する。
3.原子力発電所は解体後の敷地を速やかに緑地帯に戻すことを念頭に、20年以内に廃止措置を実施する

声明によれば、政府はこの計画の実施に伴う総予算を99年のレートで6兆リラと見積もっているほか、管理費としてさらに500億リラ(27億5,000万円)が毎年必要になると指摘。最初の5年間は毎年1,500億リラ(82億5,000万円)、その後の15年間は毎年4,000億リラ(220億円)の支出を想定している。これらの一部は原子力発電所が稼働していた頃ENELが蓄えてきた総額1兆3,000億リラ(715億円)のデコミ引当金から賄われる。また、残りは原子力施設の廃止措置その他の活動のために電気料金システムの中から特別に配分される資金を利用する計画だ。


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