[原子力産業新聞] 2000年1月5日 第2019号 <4面> |
[年頭所感] 資源エネルギー庁長官 河野博文信頼回復に全力尽くす平成12年の新春を迎えるにあたり、謹んでお喜び申し上げるとともに、資源エネルギー行政に関する所感の一端を述べ、新年の御挨拶とさせていただきます。 私が資源エネルギー庁長官を拝命した昨年9月の末に、茨城県東海村にてウラン加工施設臨界事故が発生いたしました。本事故は誠に遺憾であり、この事故により原子力に対する国民皆様の不安感・不信感が高まることとなりました。このような事故が二度と発生しないよう、当庁といたしましても各省庁と連携のもと、原子力安全・防災対策に取り組んでまいりました。本年は、原子力に対する国民皆様の信頼を回復すべく、昨年に引き続いて原子力の安全確保に向けて全力で取り組んでまいる所存であります。 来年の1月には経済産業省の発足が予定されております。この省庁再編に際し、当庁に原子力安全等を担当する「原子力安全・保安院」が特別の機関として設置されることとなっております。当庁といたしましては安全を確保しつつ、エネルギーの安定的かつ効率的供給の確保という任務を果たすための組織体制を編成して参りたいと考えております。 改めて申し上げるまでもなく、エネルギー及び資源は我が国の経済活動や国民生活の源泉であり、国民一人一人が安心して、安定的かつ効率的に、持続可能な形で資源エネルギーを享受できるような資源エネルギー供給システムを実現することが不可欠であります。資源エネルギー庁といたしましては、我が国のエネルギー状況を踏まえつつ、1.エネルギーの安定供給確保、2.環境保全、3.市場効率化、という三つの基本目標に対応すべく、エネルギー需給両面にわたる対策を総合的に講じてまいりたいと考えております。 供給面での取り組みについて申し上げますと、まず石油資源の輸入依存度が高い我が国において、安全確保に万全を期すことを前提に原子力の開発・利用の一層の推進が環境保金の観点も含めて引き続き重要であります。安全確保については、関係省庁と共同で昨年の臨時国会に原子力災害対策特別措置法案及び原子炉等規制法改正案を提出し、その成立をみるとともに、平成11年度第2次補正予算においてもオフサイトセンターの整備等を図るなど所要の予算措置を講じ、また安全規制のための所要の人員を確保するなど、原子力の安全確保に向けて万全の措置を執ってまいります。 また、このような安全確保を大前提としつつ、立地地域振興のための施策の抜本的な拡充や的確な情報提供・情報公開を通じて、原子力の円滑な立地を推進していくとともに、高レベル放射性廃棄物処分の実施に向けた体制整備を行うための法案を今通常国会に提出すること等により、バックエンド対策を充実し、核燃料サイクルの早期確立を図るなど、原子力の開発・利用の一層の推進を図ります。また、CO2を排出しない等の特性を有する新エネルギーの開発・導入促進のための新エネルギー対策が引き続き重要であり、特にミレニアムプロジェクトの一環である燃料電池の実用化開発などを一層推進してまいります。 最後となりましたが、我が国において安定的な経済成長とゆとりある豊かな国民生活をこれからも維持していくためには、資源エネルギー行政が果たす役割は極めて重要でございます。当庁といたしましては、国民皆様方が安心して安定的かつ効躍的に資源エネルギーを享受できるよう、様々な施策を講じて全力で取り組んでまいる所存でございます。つきましては、常日頃から資源エネルギー行政に御理解・御協力いただいている皆様におかれましては、本年も例年以上の御理解・御協力を賜るよう心からお願い申し上げ、私の新年の挨拶とさせていただきます。
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