[原子力産業新聞] 2000年1月13日 第2020号 <2面>

[Y2K問題] 運転支障なく年明け

通産省まとめ、福島第二・1など8件報告

通産省・資源エネルギー庁は6日、原子力発電所におけるコンピュータ2000年問題(Y2K)に起因・発生したトラブルをとりまとめ、原子力安全委員会に報告した。Y2Kについて、各電力会社は全ての発電所において、昨年内に対応を終了していたために供給に影響を及ぼすような大きなトラブルは完全に抑えられ、各原子力発電所では例年と同様に概ね平穏な新年を迎えた。しかし事務処理システムのトラブルも含め、運転に支障を及ぼさない程度の軽度のトラブルの発生が合計で8件発生・報告されたため、エネ庁は、その概要および対応状況などをまとめて報告した。

おもなトラブルは、1.東京電力の福島第二・1号機において1日に、制御棒位置指示系操作盤のエラー表示器の動作不良が発生。発生から約5時間後に復旧、2.東北電力女川1・2号機のプロセス計算機検出器故障の警報が1日0時2分と8時2分に発報。それぞれ0時12分と8時12分に復旧、3.北陸電力志賀1号機の安全パラメータ表示システム(SPDS)の表示ミスが1日0時頃発生。同日17時頃に復旧、4.関電若狭支社の高浜原発対応のモニタリングポストの(京都府向け)データ伝送の停止が1日2時頃に確認され、同日6時30分に復旧−など。

その他では事務処理システムなどに発生した4件のトラブルが報告されたが、各電力会社では全てについての対応を終了している。

科技庁所管、3件の不具合確認

科学技術庁はY2K問題に対応し、年末年始に運転中の核燃料サイクル開発機構や日本原燃のウラン濃縮施設の他、所管の原子炉・核燃料施設について監視してきたところ、6日までに3件の不具合の報告を受けたが、いずれも復旧を確認している。

まず、日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターでは1日、毎朝7時23分に行われる自動時刻修正時に、運転制御・監視システムの一部に表示が「1999年1月1日」となる不良が発生。2000年問題を想定したプログラムの一部に誤りがあることが判明したため、修正が施され翌日復旧が確認された。また同0時過ぎ、石川県設置の北陸電力志賀原発周辺の環境放射線監視テレメータシステムで、データ表示がされなくなった。処理装置のデータ収集ファイルの修正がなされ、翌日には復旧。2000年問題に起因することが判明し、同県ではシステムの点検・監視体制の強化に努めることとしている。

さらに同0時30分頃、宮城県の東北電力女川原発周辺の環境放射線監視についても、統計処理や帳票作成を行うオフライン系へのデータ通信ソフトに障害が確認されたが、同日中にソフト修正により復旧した。

科技庁からこれら報告を受けた佐藤一男原子力安全委員長は、コンピューターの特性をよく考え、引き続き安全対策に努めるよう求めた。


Copyright (C) 1999 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM,INC. All rights Reserved.