[原子力産業新聞] 2000年1月20日 第2021号 <1面>

[保障措置] 核物質管理センター、保障措置実施機関に

東海・大洗地区から開始、国以外の指定は初

科学技術庁は昨年12月24日、同16日に原子炉等規制法の一部改正が施行されたことに伴い、これまで国が行ってきた国内の原子力施設での保障措置業務の一部を財団法人・核物質管理センター(下邨昭三会長)に実施させることを認め、「指定保障措置検査等実施機関」に指定した。国以外の機関が保障措置業務の指定機関に選ばれたのは初めて。同センターは今年度については茨城県東海・大洗地区でプルトニウムを扱う施設を除いて定型化した検査業務を行い、来年度からは全国での低濃縮施設や研究開発施設への業務を行っていく。

昨年12月に施行された改正炉規法では、今後増大する保障措置関連業務に対処していくため、これまで全面的に国が実施してきた保障措置業務のうち、既に定型化し裁量の余地のない検査業務等の実施については民間機関の活用を認めている。初めて指定機関となった核管センターでは、1.国が交付する実施指示書に基づいて保障措置検査(核物質の在庫量等の状況の定期検査)、2.保障措置検査等において提出を受けた試料等の分析、3.保障措置の適切な実施のため必要な非破壊測定技術の調査研究等−の業務を代行して実施する。

現在、我が国の保障措置対象施設は250近い施設がある。商用発電所については通産省、その他は科技庁が実質的に業務を行っている。しかし今後は六ヶ所再処理施設の稼働が予定され、また国際原子力機関(IAEA)との追加議定書の実施(未申告施設への立入、環境サンプリング手段の拡大、情報の追加提供など)という保障措置業務の急増が見込まれ、科技庁だけでも22人しかいない査察官だけではこれらの業務に対処しきれないことから定型化した業務を民間にも委託できるようにした。

また核管センターには現在、代行員(保障措置検査員)は10名。科技庁では体制等が整えば東海再処理施設の立会い査察も含め定型化したものは殆どを委託していきたい考えだか、監視カメラの位置や機種等の設計情報など、機微な業務は引き続き国が行うことになっている。


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