[原子力産業新聞] 2000年1月20日 第2021号 <2面> |
[サイクル機構] 分子レーザー法濃縮、現時点での事業化候補は困難所期の目的達成、基礎研究の継続は必要核燃料サイクル開発機構は14日、「分子レーザー法ウラン濃縮技術開発」に関する外部評価(事後)の結果を発表し、その中で「技術の可能性を見極める」という所期の目的は概ね達成し、将来の実用化開発研究へ向けての基盤を築き上げたが、プロジェクトとしては他の遠心分離法や原子レーザー法と比べて、技術の成熟度から現時点で事業化の候補とすることは困難ななため、「一度区切りを付けるべき」との評価を得たことを明らかにした。 「分子レーザー法」は76年から理化学研究所で研究が開始され、その後の実証研究を経て、事業化による濃縮ウランの安定供給や核燃料サイクル全体の自主性を確保するために、旧動燃が88〜98年、理研の結果を工学規模により実証することなどを目的として行ってきたもの。 評価は理事長の諮問により置かれた評価委員会で行われ、その結果として同プロジェクトは、限られた予算と人員にもかかわらず「極めてインパクトある研究開発」だったという判断がなされており、その他基礎から工学的フェーズヘの橋渡しともなる数々の成果が得られたとも評価している。経済性評価は、工学規模の装置を用いた実証試験を経て、安定的な実用技術としての見通しが立った段階で行うべきとし、現段階では時期尚早との見方。一方で、理研との協力体制は有効に機能したが、残された課題として実用化を見通せる水準まで技術を高めることと、大幅なコストダウンを達成できる技術開発を指摘している。 最終的に、わが国としては「スクラップ&ヒルド」により、原子力開発ではより重要な課題に重点的に取り組んでいくために、「ブレークスルー」の起きなかったこのプロジェクトは、一旦区切りを付けるべきと結論を与えているが、レーザー技術の進展が将来的にコスト低減をもたらす可能牲があり、また重要な基盤技術でもあることから、今後もサイクル機構その他の研究機関で基礎研究を継続することを求めている。
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