[原子力産業新聞] 2000年1月20日 第2021号 <3面> |
[ドイツ] 所内貯蔵申請相次ぐ輸送禁止で深刻な影響ドイツの連邦放射線防護局(BfS)は6日、使用済み燃料を国内の原子力発電所敷地内に一時貯蔵する申請が昨年12月だけで9件あったことを明らかにした。 国内の原子力発電所からフランスのラアーク再処理工場に向けた使用済み燃料・輸送容器の放射能汚染が98年に判明して以来、ドイツでは使用済み燃料の国外への輸送のみならず国内における移動も一切禁止されている。BfSのW・コニグ局長によると、この禁止措置が未だに解かれないことが敷地内での一時貯蔵申請ラッシュに結びついたとしており、BfSとしてもこれに対応するプロジェクト・チームを編成しつつあるという。 申請書を提出したのは、シュターデ、ブロックドルフ、ウンターベーザー、グローンデ、クリュンメル、ブルンスビュッテル、ネッカー、フィリップスブルク、ビブリスなど主に北部の原子力発電所で、最も規模の大きい所では80基から169基ものキャスクの貯蔵を申請。今後はバイエルン州など南部の原子力発電所からも申請があるとBfSでは予想している。 シュターデ原子力発電所(67万2,000キロワット、PWR)を擁するニーダーザクセン州では反原子力の社会民主党(SPD)が政権を取っているが、同州の環境相は「使用済み燃料輸送の禁止措置が解かれない以上、敷地内での一時貯蔵を許す以外に方法はない」との考えを明らかにした。しかし、州政府が許可を出したとしても、原子力からの段階的撤退を標榜する連邦政府がこれを阻む可能性は十分にあるとも指摘している。 一方、国内の放射性廃棄物処分場についてBfSのコニグ局長は、同州のゴアレーベンで建設が計画されていた放射性廃棄物最終処分場に関して「今年の9月末には何らかの判断が下される」との一般報道を否定。「現地での調査活動を凍結するかどうかの決定は多分に政治がらみのものとなるだろうが、時間に制限があるわけではないし、選択の余地は残されている」と述べた。
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