[原子力産業新聞] 2000年1月20日 第2021号 <5面>

[NEI-insight] UNICOMとPECO、合併で大規模会社

財務アナリスト「明るい動き」と評価

昨年9月に発表されたUNICOM社とPECOエナジー社の合併により、原子力発電業界は統合に向けて大きな一歩を踏み出した。

財務アナリスト達は、こうした動きに足して好意的である。「UNICOM社とPECOエナジー社の合併は、米国の原子力発電所がより巨大な電力会社に統合されつつある状況を示すものだ」とIBCA社のスティーブン・フェッター・フィッチ社長は述べている。

UNICOM社傘下のコモンウェルス・エジソン社とPECOエナジー社は、合計14基の原子力発電所を運転している。「PECO社のピーチボトム原子力発電所とリメリック原子力発電所は、きわめて優秀かつ安定した設備利用率と経済性を誇っている」とリーマンブラザーズ社のジェームス・アセルティン社長は述べている。98年にピーチボトム原子力発電所の平均設備利用率は85.3%であり、リメリック原子力発電所は84.8%だった。なお、米国の原子力発電所の平均は79.6%である。

「PECO社の好調な運転実績とUNICOM社オリバー・キングスレー原子力本部長により同社の運転実績が成功裡に改善されたことを合わせて考えれば、協力かつ優秀な原子力発電会社が誕生することは明らかだ」とアセルティン社長は語った。

イングスレー氏は、UNICOM社の子会社であるコモンウェルス・エジソン社の原子力発電所の運転実績を改善するために、1997年にテネシー峡谷開発公社(TVA)からスカウトされた人物である。キングスレー氏の起用が成功だったことは疑いようがない。コモンウェルス・エジソン社の原子力発電所の設備利用率が著しく向上したことから、昨年、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター社は、同社の99年の1株あたりの収益見込みを2.50ドルから2.60ドルに上方修正した。その理由は「1999年の最初の8ヶ月、同社の原子力発電所の平均設備利用率は88.3%に達し、一方発電コストはキロワット時あたりわずか1.53セントだったから」と同投資銀行は月報の中で述べている。なお、98年における米国の103基の原子力発電所の発電コストは平均2.13セント/kW時だった。

PECO社とUNICOM社は、豊富な原子力発電所の運転経験を有している」とPECO社の会長・最高経営責任者(CEO)のコルビン・マクネイル氏は語った。

「両社はすでに原子力発電部門で協力関係にあり、今回の合併はこれを強化することになるだろう」とペイン・ウェッバー社のバリー・アブラムソン社長は述べている。

新しい持株会社(名称は未定)は、合計2,250万kWの発電設備容量を持ちこのうち1,400万kW近くが原子力発電所である。「これらの発電設備は、米国中西部のシカゴ市場と中部大西洋岸のペンシルバニア・ニュージャージー・メリーランド送電網という二つのきわめて魅力的なロケーションに位置し、これらの地域では電力市場も自由化されている」とリーマン・ブラザーズ社は指摘する。「両社の原子力発電所は、自由化された電力市場でも十分競合できる実力を備えている」と同社のアセルティン社長も評価している。両社はリストラを進めるにあたり、自社の試算を従来の簿価ではなく、市場価格(実勢価格)で評価してきている。「その結果、両社はこれら二つの市場においてきわmて低コストかつ巨大なベースロード電源を持つことになり、それが大量かつ安定したキャッシュ・フローをもたらすこととなったのだ」とアセルティン社長は語っている。

「そして、それがあるからこそ新会社は原子力発電所の買収に伴うビジネス・リスクを受け入れることができるのだ」とペイン・ウェッバー社のバリー・アブラムソン社長は述べている。

原子力発電所の買収を継続

新しい会社の原子力発電部長への就任が決まっているキングスレー氏によれば、新会社となっても原子力発電所の買収は続けられる方針だ。

アマージェン・エナジー社(ブリティッシュ・エナジー社との合弁会社)を通じて、PECO社はすでに4基の原子力発電所の買収で合意しており、さらに別の発電所も物色中である。「PECO社が新会社に代わっても、アマージェン・エナジー社との提携は継続する」とマクネイル氏は合併を発表した記者会見で述べた。「米国における電力会社の合併は、今後も続くだろう」と彼は付け加えた。

「それについては疑問の余地はない。ただ、保有する原子力発電設備容量からすれば、スケール・メリットという面で両社の合併は空前絶後といえるだろう」とアセルティン社長は述べている。

同社長はまた、「合併によるメリットにはさまざまなものがある。第一に規模の経済性の著しい向上であり、第二に社員に多様な選択肢を与えることができることだ。そして、より大きな組織で適職を得ることができる」と述べ、「UNICOM社とPECO社は、合併によりこれら全てのメリットを享受することができるだろう」と付け加えた。

マクネイル氏も「我々は米国における原子力発電のトップ企業をめざしているのだ」と語った。


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