[原子力産業新聞] 2000年1月27日 第2022号 <面>

[ITER三極会合] コンパクトITER 建設費5千億円程度に

 日欧露の国際熱核融合実験炉(ITER)に関する三極会合が19、20の両日、東京で開かれ、いわゆる「コンパクトITER」の概要設計の内容が報告された。示された設計ではITERの大半径6.2メートル、プラズマ電流を15メガアンペア、核融合出力を40万キロワットとしている。これにより当初より建屋等もスケールダウンとなり、1兆円規模とされた建設費も44%減にまで削減できるとし、さらに今後は機器と製作を簡素化し5,000億円程度の建設費を目指すとしている。各極はこの設計を検討していていくことになるが、焦点となる建設立地選定の協議は今年の早い段階で「非公式政府間協議」を開始することで一致した。予定では来年7月頃のITER会合で各極が立地候補を1か所に絞り、公式の選定の話し合いに入ることになっている。

 ITERの名称は、これまでの設計のものと区別するため「ITER−FEAT」と呼ばれることになった。今回見直しされた設計では@エネルギー倍増率(Q)10の運転に対し約10%の閉じ込め裕度をもつA燃焼時間は誘噂方式によるパルス長400秒,B定常運転はQ=5で1,500秒程度の運転が可能。閉じ込めが10%以上改善されれば完全定常運転が可能――などの性能を有するとされている。報告を受けた各極は自国に持ち帰り報告書について検討の上、EUの共同中央チーム所長にコメントし、これを踏まえて技術諮問委員会(TAC)がレビューを行った後、次回会合に提出される。当初より約半分となる建設費で実験炉としての性能が保持されることから、ITER建設をめぐる各極の駆け引きは今後強まってくると見通されているが、建設費負担についてはそれぞれ資金や物・人材を提供する「共通費金力式」と「in kind方式」の併用が望ましいとされている。

 なおEU側からは、カナダ国内にITERを立地することに関心を持っている旨の発言があり、公式的な交渉が行われていることが明らかにされた。次回会合は6月30日からモスクワで開催される。


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