[原子力産業新聞] 2000年2月3日 第2023号 <4面>

[原子力委・核融合会議] 国内誘致は有益

 国際熱核融合実験炉(ITER)の立地候補地として日本が名乗りを挙げることが妥当かどうかを検討していた原子力委員会・核融合会議(座長・井上信幸京大教授)の開発戦略検討分科会(主査・井上座長)は1月28日、核融合エネルギーの技術的実現性は高く、「我が国はITERを受け入れるに十分な基盤を備えている」として「全日本的体制で(国内)立地に向け取り組むべきだ」とする報告書をまとめ同会議に報告した。

 報告書は、核融合エネルギーの特徴として、トリチウムなどの燃料資源が潤沢に存任する、基幹エネルギー源としての役割を果す、地球温暖化ガス排出が極めて少ないことなどを指摘し、その開発は有益だとしている。また今後の課題は長時間核融合燃焼を伴うプラズマの物理解明と制御技術の達成であり、そのためには「実験炉が必要だ」と述べている。

 こうした点を踏まえ、ITER計画について「核融合分野において、我が国は先進国であり世界をリードできる立場にある」と同時に、高度な技術と層の厚い人材、産業界が存在するとも述べ、「我が国はITERを受け入れるに十分な基盤を備え」、国内にITERが建設されることは我が国にとって大きなメリットかあると結論している。

 核融合会議は1月28日、ITER東京会合報告された「ITER――FEAT(イーター・フィート、いわゆるコンパクトITER)の概要設計報告書を国内で評価する組織として「ITER/EDA(工学設計活動)技術部会」を指名した。同部会は3月を目途に報告をまとめる予定だ。


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