[原子力産業新聞] 2000年2月3日 第2023号 <2面>

[科学技術庁] JCO事故、住民らに健康影響なし

 JCO事故の調査を行っている科学技術庁の事故調査対策本部は1月31日、JCO臨界事故直後に同社東海事業所から約350メートル以内に居住していた住民や事業所敷地内で作業等行っていた社員や防災関係者ら439名の被曝線量の評価結果をまとめ、同日の原子カ安全委員会に報告した。評価では当時作業に従事していた3名(うち1名は死亡)を除き、すべて50ミリシーベルト未満であり、被曝による健康影響への恐れはないとしている。

 今回、評価の対象となったのは高線量の被曝をうけた3名の他に、(1)事業所周辺の避難要請がだされた約350メートル以内の区域に居住・勤務する住民等200名の個人の推定線量(事故発生から20時間後までに1キロ以内に留まっていなかった58名と実測線量がはっきりしている7名は除く)(2)周辺住民等7名の実測線量(3)再臨界防止のため水抜きやホウ酸水注入作業した者24名の実測線量(4)その他事故時に敷地内にいたJCO従業員等49名の実測線量(5)敷地内にいた従業員等96名の推定線量(6)政府関係者や消防署員ら防災業務関係者60名の実測線量――の計439名。実測で線量が評価された者は140名、推定で線量評価された者は296名となっている。

 こうした結果を踏まえ、対策木部では周辺住民等に対する健康診断は、1ミリシーベルト以上の者119名とそれ以外の避難区域内の周辺住民等の88名を合わせて207名について年1回の健康診断や心のケア(希望者全員)の相談などを実施する。第一回の健康診断は4月頃行う。

 報告を受けた安全委では、青木芳郎委員が「(高線量被曝した)3名の方については残念だったが、他の住民に健康影響がまずないことが分かった。これからは心のケアが必要になるので適切な対応をとっていくことが重要だ」とのコメントを述べた。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.