[原子力産業新聞] 2000年2月24日 第2026号 <2面>

[日本エネ経済研究所] SPEC2000開催

 日本エネルギー経済研究所などエネルギー関係8団体で共催する「太平洋エネルギー協力会儀(SPEC)2000」が「アジア地域のエネルギー安全保障」をテーマに15、16日の両日、東京都内で開かれた。

 初日、東アジアのエネルギー問題と安全保障問題について講演した日本国際問題研究所の小和田恆理事長は、日本を含む東アジア諸国は原子力発電の活用を進めているが、安全性の確保、不拡散問題、核物質の流出などの問題があると指摘。こうした原子力エネルギーの問題に対処していくにはユーラトムのアジア版といえる枠組みを模索し、これを地域的な信頼醸成と相互モニタリングの場とすべきであると提唱した。

 2日目では東京電力の勝俣恒久副社長が「アジアにおける原子力開発の未来」と題して講演した。勝俣氏は、今後の世界のエネルギー消費は2020年には90年の約1.8倍になり、とくにアジアでは96年の、2倍以上になる国際機関等の見通しを説明。こうした状況におけるアジア地域のエネルギーをめぐる課題はセキュリティ、環境問題に加え、規制緩和が進むことによるエネルギー市場の自由化への対応だと指摘した。

また同氏は、これらの課題を解決するには@エネルギー供給の多様化――非化石燃料への転換および調達先の多様化A省工ネの推進――などが必要だとし、原子力については供給の多様化や発電時にCO2、窒素酸化物、硫黄酸化物を放出しないという環境面の有利さがあり、これらの課題を同時に解決するための有力なオプションの一つだと述べた。


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