[原子力産業新聞] 2000年3月2日 第2027号 <1面>

[ロシア・原子力省] BN800は建設

 ロシア原子力省が主催して2月22日から東京・品川の在日ロシア通商代表部で開かれていた「第1回ロシア原子力平和利用展示会」が25日、閉幕した。展示会には同国の原子力施設のパネルや放射線を利用した資機材などが展示され、訪れた見学者の関心を集めた。23日にはイワノフ同省第一次官の講演や同会場の藤家洋一原子力委員長代理とモスクワにいるアダモフ大臣とのTV会見も行われた。会場には延べ300人を越す参加者が訪れ、本国から派遣された多くの専門家から説明を受けた。

 一方、展示会のため来日したロシア原子力省のニキペ□フ・大臣特別顧問は2月25日、東京都新橋の原産会議で講演し、ロシアは長期的観点から核燃料サイクル路線を堅持していく考えを改めて示すとともに、1か月前項にロシア原子力省は2050年に至る第1期基本原子力開発計画をまとめたことを明らかにした。そこではサイクル政策を進めFBR開発を行っていくことを明示。現在建設途上にある高速増殖実証炉BN―800を完成させ、その後安全性を高め、冷却材に鉛(もしくは鉛ビスマス)を使用したFBRを建設していく計画だと述べた。

 また最近の米ロ間での合意により、ロシアは再処理を放棄するという一部報道については改めて否定した。米国発の報道では現在操業中のマヤク再処理施設(RT―1・400トン/年)を閉鎖するとされていたが、この点について同氏は、76年に操業をした施設はかなり老朽化しており、1〜1年半の改造・改修により一時操業停止はあり得るが、原子力潜水艦からの使用済み燃料の再処理業務もあり、閉鎖することは考えていないと強調した。ただ、戦術的な施策として、例えば建設が中断しているRT―2(1500トン/年)の建設を2020年頃まで中断するという方策はあり得るとし、その間乾式貯蔵で対応ができようと述べた。

 「ロシアが再処理を放棄」といった報道が流れたことについては、「直接処分をとっている米国としては国内向けにロシアもその路線を支持しているように見せたいからではないか」との見方も示した。また、ニキペロフ氏は日本側への期待として、日本の原子力事故などの解析を、経験の多いロシアの機関に委託して欲しいこと、ロシア東部地域にある原子力潜水艦の解体問題については日本側の不安を解消するためにもモニタリングや情報公開の面で協力していきたいと述べた。


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