[原子力産業新聞] 2000年3月2日 第2027号 <2面>

[原子力発電技術機構] 「防災センター」を発足

 原子力発電技術機構(NUPEC)は1月16日、同機構内に「防災センター」を発足させ、本格運用に向け整備を進めている。従来より国の委託を受けて緊急時対策支援システムを開発し、その運用試験を行うなど原子力防災対策を支援してきたNUPECだが、原子力防災をより一層強化するために通産省が計上した、99年度補正予算にともなう計画のうち、オフサイトセンター設備整備、緊急時連絡システム整備、特別防災研修、特別防災訓練という4つの委託された事業を円滑に行い、原子力防災対策を根本的充実強化することにより、原子力利用に関する国民的合意形成を増進するためには「財団内に再門の部署が必要」との判断により新設されたもの。同センターは3つの室から構成、19人体制でスタートした。

 同センターは企画・研修訓練開発室、防災設備開発室、緊急時対策技術開発室(安全情報研究センターから移動)の3室により運営されており現在、オフサイトセンターの設備を充実させるために、所長以下19名が職員として対応に当たっているが、最終的には10名程度で運営していく方針だ。

 同センターの主な業務内容は、まず「緊急事態応急対策システム等設備整備」として、全国13か所の原子力発電所に設置されることとなった緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)の各種設備を整備・維持する。具体的には、自治体が建設した建屋内に、万が一の原発事故が起きた際に、原発やモニタリングポストなどから送られてくる情報を集約し、事故の進展状況、放射線の放出状況などの状況を予測するとともに、住民の避難などの指示を行うといった現実的な防災対策をタイムリーに行うために必要な情報・通信機器、放射線拡散予測システムほか解析システムなど各種設備を整備・維持する。

 また「緊急時連絡システム等設備整備」として、緊急時にオフサイトセンターで収集した情報を、関係省庁や地方自治体などの間で直ちに共有できるように、災害に強い衛星通信ネットワークで相互を結び、テレビ会議システムによる協議が行えるシステムを整備する。加えてオフサイトセンターに集約された事故関連情報を研究機関で分析および解析するために、オフサイトセンターを電力中央研究所、大学とコンピュータネットワーク(専用回線)で結ぶ。さらに「特別防災研修事業」として原子力安全技術センターと協力して、消防、自衛隊などの防災関係機関職員を対象に、放射線防護など必要な具体的知見を身につける研修を行うほか、原子力防災の実行性向上を図るために「特別防災訓練」として、具体的な訓練シナリオを基に、国、自治体、原子力事業者が一体となった訓練計画作成などの作業を実施する。なお、新法を念頭に置いた、国も参加して実施される初の防災訓練が3月23日、福井県の日本原子力発電・敦賀2号機を対象に実施される予定だ。

 予算は「緊急事態応急対策システム等整備費」が101億2616.8万円、「緊急時連絡システム等設備整備委託費」が48億4704.9万円、「特別防研修事業委託費」が2億5805.3万円、「特別防災訓練委託費」が3億5759.9万円となっている。


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