[原子力産業新聞] 2000年3月2日 第2027号 <2面>

[原子力委・長計第6分科会] 各国の取組み報告

 原子力委員会の長期計画策定会議第6分科会(座長・下山俊次日本原子力発電最高顧問、田中直毅21世紀政策研究所理事長)は2月14日会合を開き、ロシアの余剰兵器プルトニウムの管理・処分に対する各国プロジェクトの現状や課題、わが国の「バイパックオプション」について報告を受け議論した。

 露の余剰兵器プルについて報告を行った外務省軍備管理軍縮課によると、米では92年から対ロシア支援として、酸化プル転換プラント建設へ向け資金拠出をしてきたほか、今後MOX燃料加工施設の設計・建設を対象とした予算充当、そのVVERや高速炉での燃焼についての技術協力に関する専門家協議を進めており、また、MOX燃料に加工してロシアの民生用原子炉で燃やすことを目指した、仏独露3国間の政府間協力協定が98年に調印され、伊・ベルギーも参加表明したが、建設費などが課題になっている状況という。また「加CANDUオプション」や米仏日の企業連合による高温ガス炉計画なども検討されており、これら現状から、わが国としては@不可逆性A透明性B効率性――を重点とし、外務省では、@米露の「哲学」の違いによる協議の難しさA資金手当上の問題B複数の計画の調整――がこれからの課題だと付け加えている。

また、核燃料サイクル開発機構は、ロシア解体プルを振動充填(バイパック)燃料製造技術を用いてMOX燃料とし、高速炉「BN−600」で燃焼するオプションを米との協調のもとで進めるとともに、ここで得る経験を「高速炉実用化戦略調査研究」などに活用してい<「バイパックオプション」について説明した。これは、解体プル20トンを高速炉1基20年間で燃やすもの。実施に当たり、「フェーズ0〜3」のステップで進めていくことか提案されており、課題としては、事故時の賠償問題などにも備えた政府間協定締結も視野に入れた協力環境の整備が急務としている。

 分科会は五月の報告書取りまとめに向け、次回にその骨子が示される予定。


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