[原子力産業新聞] 2000年3月2日 第2027号 <3面>

[米・DOE] 石棺の修理計画で米と西側の融資を約束

 国際チェルノブイリ・センターが2月7日付けで伝えたところによると、ウクライナ政府の招きで5〜6日にキエフを訪れていた米国エネルギー省(DOE)のB・リチャードソン長官は、現在も稼働中のチェルノブイリ3号機(100万キロワット、RBMK)が年内に閉鎖されることを確認した上で、米国は同4号機を覆う石棺の修理計画(SIP)に対して先進7か国(G7)の中でも最大の資金援助を行う考えであると明言した。

 同長官はウクライナのL・クチマ大統領との会見の席でSIP計画の完了にはさらに7億ドル(763億円)が必要と見積もった上で、一国としては最高額の支援を米国が約束するとともに、残りは5月にドイツで開催予定の保証会議で、ほかのG7諸国が負担するよう働きかける考えであると述べたもの。

 これに対してクチマ大統領は、具体的な日程は明示できないまでも3号機は年内に閉鎖すると確約した。過去数か月の間に同国の電力不足は深刻な状況に陥っており、ウクライナはこれまで3号機の閉鎖は代替電源となるフメルニッキ2号機およびロブノ4号機を完成させる計画(K2/R4)への資金援助が第一条件だとして最終決定を引き延ばしにしてきた。しかし、1週間程前に開かれた欧州復興開発銀行(EBRD)のC・フランク第一副総裁との会合で、同行からK2/R4計画に6億4000万ドル(697億6000万円)の融資約束を取り付けたと伝えられており、3号機の閉鎖に同意したものと見られている。

リチャードソン長官はさらに、米国はウクライナにおけるエネルギー部門のインフラ整備や省エネ技術開発にも関与する用意があると言明。この件に関連してはクチマ大統領の報道官とウクライナの専門家筋が、3号機を閉鎖させるのに伴う技術的な問題の解決で両国がすでに共同作業を始めたことを伝えている。


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