[原子力産業新聞] 2000年3月2日 第2027号 <4面>

[運輸省船舶技研] 海洋での原子力利用、初の国際会議開く

 運輸省船舶技術研究所は2月21日から24日の4日間、初めての「海洋における原子力利用に関する国際ワ−クショップ」を東京港区の虎の門パストラルで開催した。科学技術庁や海上保安庁らの協賛の下に開かれたワーショップは原子力砕氷船、深海船、高速運搬船などの原子炉利用や放射性物質輸送、海上原子力発電などの将来展望等について経済性・技術可能性などについて情報交換をする目的で開かれたもので、米英仏ロ中韓、ノルウェー、イスラエルからの参加者を含め約130名が参加した。今回は発表論文が32編とポスター論文が11編だった。

 世界で唯一、民住用の原子力船を保有しているロシアからは、1959年から現在まで8隻の原子力砕氷船と1隻の原子力運搬船が建造され、現在は9隻目の原子力砕氷船が建造中だと報告された。またロシアではこれらの技術的な経験を基に洋上のコジェネ炉や海水の淡水化炉の検討も行われているという。

 中国からは核熱供給炉(NHR)の経験を生かし、蒸留機能を付けたNHRを用いた洋上の淡水化炉を設計中であることが報告された。米国からは95〜99年にかけて、通常では調査が困難な北極圏などの地域の様々な調査を米海軍の原子力潜水艦を用いて行った内容が紹介。その結果氷で覆われた海での海洋調査等に原潜はユニークな観測基地と成り得ることが可能だということが分かったという。日本からも「むつ」の成果、原子力船開発の現状、深海高速炉などの紹介が行われるなど、ワークショップでは将来において原子力船や洋上炉の二ーズは高まっていくことが確認された。


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