[原子力産業新聞] 2000年3月9日 第2028号 <3面>

[ロシア・原子力学会] 使用済み燃料乾式貯蔵を検討

 ロシア原子力学会が2月29日付けで伝えたところによると、ロシア原子力省(MINATOM)は国内原子力発電所の敷地内で増えつづける使用済み燃料の貯蔵量と原子力潜水艦の大規模な解体に伴う使用済み燃料集合体の急増に備え、長期的な乾式貯蔵施設の建設を検討中だ。

 この案は今のところ、いくつかあるMINATOMの選択肢の1つに過ぎないが、シベリアのツェレズノゴルスクにあるロシアで唯一の、100万キロワット級VVER専用使用済み燃料・湿式集中貯蔵施設が2005年には6000トンの許容貯蔵量を越えることから、それまでに新たな乾式貯蔵施設の1期工事完了を目指したいというもの。

 100万キロワット級VVERおよびRBMKからの使用済み燃料乾式貯蔵技術は現在、研究開発段階にあるが、サウスウクライナ原子力発電所内での乾式コンテナ貯蔵試験の経過は良好と伝えられているほか、ノボボロネジ発電所でも100万キロワット級VVERの使用済み燃料集合体が乾式貯蔵された場合の挙動について調査を継続している。ロシアの使用済み燃料貯蔵技術はこれまで、国内のすべてのRBMK炉サイトおよびチェリヤビンスクとクラスノヤルスクにある再処理工場の湿式貯蔵設備のために開発されてきた。しかし、MINATOMの最新の報告書によると、技術的、経済的に見て、資本コストの点では湿式と乾式とでさほど違いはないものの、操業コストの比較では乾式貯蔵の方が廉価であるとの結果が出ていると言う。

 現在、ロシア原子力発電公社が操業するRBMK型炉7基のサイトで4万体(約4300トン)以上の使用済み燃料が蓄積されているほか、独自に操業しているレニングラード原子力発電所(各100万キロワット、RBMK4基)でもサイト内貯蔵量は3万2000体(約3600トン)に達しており、既存の貯蔵プールおよび施設の容量は2004年から2008年の間に満杯になると予想されている。

 チェリヤビンスクにある再処理工場の処理能力が年間10トン足らずであることを考慮すると、MINATOMでは原子力潜水艦からの使用済み燃料は地方の貯蔵施設にある金属とコンクリートで製造したコンテナ内に貯蔵することも検討中だとしている。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.