[原子力産業新聞] 2000年3月16日 第2029号 <2面>

[電力調査委] 2009年度電力総需要、1兆1,216億kWhに

平均伸び率は1.7%に

日本電力調査委員会は8日、2009年度時点の総需要は1兆1,216億kWh、年平均伸び率は1.7%になるとの見通しを示した2000年度(98年度−2009年度)の長期電力需要想定を発表した。今回の調査で前提とした経済指標では、人口の伸びを年平均0.1%程度と見込んだ。また、国内総生産(GDP)増加率は至近の景気動向や政府経済見通しなどを総合勘案し、同1.9%と初めて2%を切る想定としたほか、鉱工業生産指数(IIP)を同1.8%と見込んでいる。

同想定によると、今月21日から自由化対象とされる特定規模需要は、産業構造の変化や省エネ対策の推進等を折り込み、年平均増加率0.9%(2009年度需要2,345億kWh)。一方、特定規模露要以外の自由化対象とならない分野の伸びは同2.1%(同7,379億kwh)で、両者を合計した流通対応需要(電力10社計の需要電力量)は同1.8%(同9,723億kWh)の伸びと想定した。この流通対応需要にその他事業者を加えた電気事業用計は9,907億kWhとなり、さらに自家発自家消費を加えて総需要電力量を1兆1,216億kWhと想定したもの。

特定規模需要以外の需要の内で家雇用の電灯は、テレビ、冷蔵庫などの大型化や新型機器の普及拡大などの増加要因があるものの、人口の減少や省電力機器の普及増などを考慮して、年平均増加率を1.9%(2009年度需要電力量2,979億kWh)との見込み。業務用電力については、省エネ型ビル・機器の普及や労働時間短縮等の減少要因に対して、情報化の進展などを織り込み、同3.1%(同2,093億kWh)と堅調な伸びを想定した。小口電力は非製造業部門の生産規模の縮小や省エネ対策の強化策など減少要因を織り込んで、同1.0%(同1,241kWh)としている。この他、高圧電力Bを同1.5%(834億kWh)と想定したほか、その他電力の約7割を占める深夜電力では、電気温水器の省スペース化や高効率化等による普及拡大が期待されることなどから、その他電力全体として同4.1%(同232億kWh)の伸びを見込んでいる。

一方、蓄熱システムの普及拡大や冷暖房兼用エアコンの普及増などの負荷標準化などを織り込み、電力10社計の2009年度時点の最大需要電力は2億327万kW(年平均増加率1.9%)、その他事業者を加えた電気事業者の合計最大需要電力は2億555万kW(同1.8%)と想定した。


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