[原子力産業新聞] 2000年3月16日 第2029号 <3面> |
[スイス] 新原子力法の案文を公開使用済み燃料の再処理は禁止へスイス連邦政府は6日、新たな原子力法の案文を6月中旬までの日程で正式な公開協議に付した。この中で政府は使用済み燃料の再処理禁止条項を盛り込む一方で、既存原子力発電所の運転寿命については上限を定めていない。また、新規発電所の建設は国民投票で是非を問うよう提案しているのが特徴だ。 法案の骨子は次の通り。(1)国内使用済み燃料の再処理および再処理のための輸出を正式に禁止するが、海外企業との既存の再処理契約については法的に定められた枠組みの元で履行されるものとする(2)既存原子力発電所の運転寿命に上限を設けるか否かについてはさらなる議論が必要との認識だが、公開協議の議論の中でどちらかに決まる可能牲もある(3)プルトニウムを含む放射性物質の空輸は今後禁止する(4)放射性廃棄物の管理については、先頃専門家グループが提案した「将来の回収可能性を原則として伴う深地層処分」の受け入れを勧告する(5)いかなる原子力発電所を新規で建設する場合も、第一段階として一般認可の取得が必要−など。 新原子力法は当初、今年からの施行を予定していたが、現在のスケジュールでは法案の議会評決が来年にずれ込む見通しであるため、早くても2002年になると見られている。59年に初めて制定された原子力法は78年に改正された。90年9月の国民投票で合意された10年間の新規原発建設モラトリアムなど、いくつかの政策が今年中に期限切れを迎えることになるが、新原子力法承認の遅れにより、それらはさらに延長されると見込まれている。 この日、連邦政府はまた、放射性廃棄物を長期管理する費用の確保を目的とする「中央廃棄物管理基金」の創設を発表した。これは原子力施設の廃止措置費を準備するため84年に設立された基金と性格を同じくするもので、原子力施設の操業を40年間と想定した上で、必要となる額を運転会社が毎年支払っていくことになる。
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