[原子力産業新聞] 2000年3月23日 第2030号 <2面>

[原子力広報評価検討会] 双方向コミュニケーションを重視

 原子力広報評価検討会(座長・田中靖政学習院大学教授)は21日、第6回会合を開催した。最終回となった今回は検討会の報告書案要旨の審議に加え、同検討会の「専門検討会」(情報公開検討会およびエネルギー教育検討会)の報告書案要旨も発表され、合わせて審議が行われた。

 広報評価検討会の報告書案要旨では、今年度の主な検討課題のひとつである国民世論の分析について、昨年11月に総理府が行った世論調査結果のうち、ウラン加工施設臨界事故の世論への影響、政府が講じた原子力安全・防災対策の認知度、受け手に影響を与える情報源などについての世論の近年の変化を分析し、その結果を報告書に反映させる方針が示された。また原子刀広報の今後の重点課題については、原子力発電に対する小安感の増大への対応と、原チカの信頼回復に向けた取り組みの強化を挙げ、同時に適切なコミュニケーションのあり方について十分な検討をしていくことの重要性を指摘uている。

 マスメディアヘの対応については、その使命や責任、社会的影響などを踏まえれば「マスメディアヘの適切な情報提供を行っていくことも、原子力広報の観点からは重要だ」とするとともに、事故時の被災地住民への情報提供はマスメディアによるところとなることから、平常時から事故時の住民への情報提供のあり方について、関係者の認識の共有化を図っておくことも重要と提言している。加えて効果的な広報施策体系のあり方については、施策分野に対応した受けてのセグメンテーションの再整理、コミュニケーション(双方向性)重視の施策体系作り、情報の内容や表現方法の検討が必要としている。

 さらに@「リスクコミュニケーションの考え方に基づく広報施策の推進A広報施策の評価システムの確立B広報施策の体系化――などを、今後の広報施策に関する提案として挙げている。

 この報告書案要旨は今後、今回の審議を踏まえて事務局が報告書案を作成し、各委員へ送付。委員から寄せられた意見などに基づき再度の修正が行われ、報告書として取りまとめられる予定だ。


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