[原子力産業新聞] 2000年3月23日 第2030号 <2面>

[原子力委・長計第6分科会] 「核不拡散」で論点整理

 原子力委員会・長期計画策定会議の第6分科会(座長・下山俊次氏、田中直毅氏、新しい視点に立った国際的展開)の第7回会合が15日、東京都内で開かれ、「核不拡散に係わる国際協力」に関する論点整理と分科会取りまとめについて各委員からコメントが出された。

 核不拡散については、海外で根強く残っている我が国の核武装への疑念を払拭するためには、非核三原則、原子力基本法、NPTに基づく国際的義務について説明を尽くすともに、核兵器保有という選択肢の持つ意味(我が国の平和と繁栄の維持に何の利益ももたらさないことなど)を示すことの必要性や、再処理プルトニウム利用政策について、その理由や意義、根拠を整理した形で対外的に発信する努力の必要性などが指摘された。

 また核不拡散への我が国の貢献については、IAEAへの貢献や余剰兵器プルトニウムの管理・処分への協力にあたっての観点からの整理が重要だとされた。

 分科会報告書取りまとめにあたっての各委員の意見では、青木輝行委員は報告書の内容は「21世紀の世界における我が国の果たすべき役割に関する理念や政策を、国が行うべき項目を中心に明確に提示したもの」とすることが望まれると述べ、盛り込むべき施策として@プル利用政策に関する国際的な理解増進A国際輸送の円滑な実施B原子力安全に関する協力、情報発信――などを挙げた。栗原弘善委員は、国内の原子力開発利用政策や開発状況についての透明性を向上させること、国際核不拡散政策の進展に積極的に貢献することの2点を国の方策として採用するよう求めた。

 舛添要一委員は余剰プルトニウムの削減を優先させるべく、多様な政策選択肢を持つことを考えるべきだとした。松浦祥次郎委員は、「我が国の原子力を巡る現代及び将来における国際的問題は何か」「それに対して、どのような準備をして、どう対処するか、もしくは、し得るか」「現時点の国際的課題は何で、将来への動向を予測した時、どのような選択があり得るか」をまず示すことが必要だと指摘した。


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