[原子力産業新聞] 2000年3月23日 第2030号 <3面>

[ウクライナ] チェルノブイリ3号機で「閉鎖」に遅れの可能性

 国際チェルノブイリ・センターが2月29日付けで伝えたところによると、ウクライナのL・クチマ大統領は米エネルギー省(DOE)のB・リチャードソン長官が2月にキエフを訪問した際には「西側諸国の支援が約束されれば年内にもチェルノブイリ3号機を閉鎖する」と約束していたが、政府内のさまざまな見解の相違により、最終的な閉鎖日程は2004年までずれ込む可能性が出てきた。

 まず、同国のエコロジー・天然資源相は「閉鎖するタイミングはまもなく最終決定される」と断言する一方、燃料エネルギー相による同炉の調査報告が「早期の閉鎖は国家経済に与える影響が大きいため2004年までは運転を継続する必要がある」と指摘している点に言及した。燃料エネルギー相は、閉鎖によってウクライナの電力供給の6%が失われるだけでなく、国家の年間収益の低下や1200万〜1500万ドル相当の地元予算と3000もの雇用喪失を意味するとの警告を発している。

 エコロジー・天然資源相はまた、閉鎖時期はあくまでも3号機の技術的な状態に関して専門家達が下す結論と規制当局の勧告に基づいて決定されるとの姿勢を崩していない。同炉で昨年1年間に発生した異常事象の件数は、他の原子炉の平均件数の4倍に達しているが、政府高官らは「このうち2件は規則違反などの軽微な事象。少なくともこの1か月は安全な状態で稼働している」と述べた。

 また、86年の4号機事故の後、発電所から50キロメートル東に作られたスラブティッチ町のV・ウドビチェンコ町長も、「早期閉鎖による影響を補えるような、強力な政治的、経済的、および社会的な基盤がない以上、賢い選択とはいえない」との見解を示している。

 なお、一部バルブの不具合を緊急修理するため計画外停止していた3号機は2月28日に併入される一方、ザポロジエ1号機とサウスウクライナ2号機は修理のための計画停止を継続中。同国の原子力規制行政情報センターによると、2月25日から通常の保守・点検のため停止する予定だったザポロジエ6号機は、国内電力供給が不足気味なため点検作業を延期している。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.