[原子力産業新聞] 2000年3月23日 第2030号 <4面>

[科技庁] 海産物海水など放射能の分析結果「例年並みレベル」

 科学技術庁はこのほど、98年度に原発等周辺海域14か所と青森県の核燃料サイクル施設沖合で行った、海産生物や海水などの放射能分析調査結果で、いずれもここ数年と同程度の放射能レベルにあることを発表した。また、臨界事故直後の昨年10月に茨城県沿岸久慈沖で採集したマコガレイ、ヒラメ、ミズダコについての放射能レベルも例年並みとのこと。

 この「海洋環境放射能総合評価事業」は、原発等周辺の漁場を中心とした放射能調査などにより、海洋環境での放射能水準を把握するとともに、原発等のそれに与える影響などを総合的に評価することを目的とし、84年1月から行っているもの。

 まず、原発等沖合の漁場については、立地点沿岸で海産生物、海底土、海水の試料採取を行って核種を分析。海産物試料選定に際しては、その海域での漁獲量が多い種を3種ずつ計84種を、98年4〜8月と同9月、99年2月の2期に分けて収集、海底土は98年4〜6月、海水は海底土と同じ地点で表面と下層とで採取。例えば、福井海域ではアカガレイ、スルメイカなどを海産物試料に選んでいる。また、放射性核種については半減期が比較的長いものなどを選定し測定した。83〜98年度のこの調査で、継続して検出された人工核種はストロンチウムとセシウムのみのため、これらについての変動をみると、海産生物、海底土、海水いずれについても、チェルノブイリ事故による若干の動きはあるもののほぼ同じレベルで推移している。

 一方、91年度から行っている青森県の核燃料サイクル施設沖合での調査においても、漁場の海産生物、海底土、海水の試料採取を行って核種を分析。海産物は98年4〜7月、同9〜11月に、マダラ、ヒラメなど10種を選定・収集。海底土は16地点、海水は同じ所で表面と下層とで、それぞれ同5月に採取した。対象核種は比較的長半減期のものなどに着目し分析している。これも年度による顕著な変動はない。


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