[原子力産業新聞] 2000年3月30日 第2031号 <1面>

[原産] 越原子力委、協力基本計画で合意

 日本原子力産業会議とベトナム原子力委員会は27日、昨年12月に両者で合意した「ベトナムの原子力発電準備作業の実施に関する協力覚書」に基づく「2000年の基本計画」を取決め、原産会議事務局で署名を行った。森一久原産副会長とチャン・フー・ファット越原子力委員会委員長が署名した。署名に先立って、原産が設置した「日越協力連絡委員会」(委員長・金井務原産常任理事・日本電機工業会会長)の第1回会合が原産会議室で開かれた。

 将来の電力確保を図るため、ベトナム原子力委らは2015年頃までに原子力発電を導入するという提案を同政府に行い、政府は正式決定までの間、原子力委内に準備委員会を設置し、必要な作業を行うよう指示した。今回の両者による署名は、同原子力発電準備委が設置した@人材養成Aサイト選定B法律準備C研究開発D広報――の5つの分科会の活動などに原産として協力していくもの。

 とりわけサイト選定について、ベトナム側では2000〜03年における作業計画を策定しており、北部でのいくつかの立地点の調査を行う方針にしているなどの動きがでている。ベトナム側から協力要請がきている内容は@視察団、調査団、専門家の相互派遣A日本での研修として、基本計画策定、原子力安全、サイクル・廃棄物管理、発電所の運転・管理、プロジェクトマネージャーなどの人材養成Bサイト選定作業への協力C原子力法整備D原子力研究開発EPA――など。

 ベトナムでは98年末に工業省が2010〜15年に合計約300万キロワットの原子力発電が必要との報告書をまとめて以来、導入をめぐる動きが活発化し、プレ・フィジビリティ調査には日本メーカーと加AEOLが各炉型データの提出等で協力した。昨年8月に原子力委らから報告を受けた政府は、現在はベトナム共産党に導入の是非についての見解を求めており、同党は今年2月に日本視察を行い、近く政府に見解を報告する見通しで、政府としての正式決定は早くて今年中にも行われるとの見方もある。

 こうした動きの中で、越原子力委らから原産への協力要請もあり、99年には原産が2度にわたって調査団を派遣し、昨年12月に越原子力委の準備委の活動に原産が協力するという覚書を締結している。今年に入って原産は覚書に沿った協力を実施していくため日越協力連絡委を設置、2月にはベトナム共産党の幹部を団長とする原子力調査団の受入れ、また日本からは立地調査の専門家らを派遣するなど交流は活発化している。

 一方、27日に開かれた日越協力連絡委員会では、具体的な協力を進めていくため、ベトナムから要請のある5分野について、必要に応じ担当幹事会社、機関を置いて対応していくことを決めた。

 同会合ではファット原子力委員長が国内の原子力事情について報告した。同氏は、ベトナム政府はすでに署名しているCTBTの批准について議会に提出する用意ができていること、またIAEA保障措置協定の追加議定書についても、セミナーを開催するなど国内の体制整備を進めており、批准に向けた取組みを活発化していると述べた。


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