[原子力産業新聞] 2000年3月30日 第2031号 <2面>

[日仏FBR専門家会合] 「もんじゅ」利用し共同研究

 日仏両国が実施している共同研究等について話し合う第4回日仏高速増殖炉(FBR)専門家会合が13、14日、仏のマルクールで開かれた。日本側から科技庁、通産省、サイクル機構ら、仏側からは原子力庁、国民教育研究技術省らの担当者が出席。両国における研究開発の現状、将来炉の経済性・プラント性能向上を目指した共同研究の進捗状況が報告されるとともに、日本側は「もんじゅ」に関連する共同研究を新たに提案し、これに対して仏は早期に実施できるよう協議を進めていくことを了解した。

 会合では初めに、仏は高レベル廃棄物最終処分に向けた地下研究所の工事開始他、電力業界の動きなど昨年の国内情勢を紹介。日本は長期計画策定での核燃料サイクルの検討、国際協力の重要性、BNFL不正問題のプルサーマルヘの影響など昨今の動きを報告した。FBR研究開発の現状については、日本の実用化戦略調査研究の進捗に対し、仏は@21世紀でのFBRAナトリウム冷却以外のFBR検討B仏「フェニックス」停止後の「常陽」「もんじゅ」を使ったマイナーアクチノイド(MA)燃焼C緊急時体制についての議論D長寿命核分裂生成物の処理研究E配管にセンサーを挿入しない計測技術の開発――を重要とし期待をかけた。また仏からは免震設計経験の情報提供など意見があり、これらを通じて協力を一層強化していくことで合意した。

 さらに、日本は「もんじゅ」を利用した新たな共同研究としてナトリウム漏洩対策、FBRプラントの監視・診断技術、ナトリウム透視技術、PA向上などのテーマを提案。仏は他の欧州諸国にも「もんじゅ」のような炉はなく、「フェニックス」の先行き不透明、環境保護団体の圧力も懸念されることから、この提案を歓迎しナトリウム冷却に関する知見・技術の蓄積、検査・制御・監視技術の研究開発の必要を訴えた。

 次回は今秋日本で開催される。


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