[原子力産業新聞] 2000年3月30日 第2031号 <3面>

[スウェーデン] 不足分を火力で補填

 政治的な理由で昨年11月末にバーセベック原子力発電所1機(61万5000キロワット、BWR)を永久閉鎖したスウェーデンでは、冬季の電力供給を補うため、デンマークの火力発電所からの電力輸入に依存していることが明らかになった。

 今年のスウェーデンの冬は比較的暖かいと言われているにも拘わらず、スワェーデン向けに隣国デンマークで炊き増しされたロシアおよびポーランド産の石炭は過去3か月の間に約34万7000メトリックトンに達した。合計の電力輸入量は10億キロワット時に達しており、スウェーデンはこの30年間で初めて、恒常的な電力輸入国に転落することが予想されている。

 99年実績でみると、スウェーデンの電力消費量は98年実績よりやや減少して1429億キロワット時だったものの、輸入量は前年の61億キロワット時から85億キロワット時に拡大。輸出量も168億キロワット時から159億キロワット時に減少した。

 化石燃料の炊き増しは確実にCO2の排出量を増加させるため、欧州連合(EU)でスウェーデンの環境問題担当委員が排出削減努力をEU加盟各国に呼びかけている最中の排出量増加は、同国の産業界からも問題視され始めている。特にスウェーデン電力協会では、火力の炊き増しによるCO2の放出増加量は年間で400万トンとの試算結果を明らかにしている。

 一方、原子力による昨年の総発電量は702億キロワット時で前年実績から約2億キロワット時減となった。しかし、スウェーデン全体の総発電電力量も1504億キロワット時と前年実績から約40億キロワット時の減少であったため、原子力のシェアは47%の横ばいという結果だった。


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