[原子力産業新聞] 2000年3月30日 第2031号 <6面>

[横河電機] 脳磁計測システムを開発

 横河電機はこのほど、磁気センサSQUID(超伝導量子干渉素子)を測定部の160か所に配置した世界最高レベルの性能を持つ脳磁計測システム「PQ1160C」(愛称・MEGvision)の開発、販売を開始した。

 「脳磁計」は、脳の電気生理学的信号を磁気として直接とらえて計測する装置で、脳の機能を無侵襲で検査できることから21世紀の脳研究や臨床分野における強力な手段として期待されている。従来の脳波計による検査は電位として測定するため、頭蓋骨や髄液など電気抵抗の異なる部分の影響を受けていたが、脳磁計はこれらの影響を受けないで計測できる。

 「PQ1160C」は、最先端のSQUID磁気センサを被験者の頭部全体に160か所配置し、脳神経細胞の発する極めて微弱な磁場を外部から測定する。センサ間隔が25ミリメートル以下という世界最高密度の配置となっており、より多くの情報をもとに脳内の活動部位や活動程度を高精度に検査することができる。また、脳の電気生理学的信号を磁気として直接とらえられる脳磁計の特長により、1000分の1秒単位の高い時間分解能で脳活動の早い変化がわかると同時に空間分解能が高くミリメートル単位で活動場所の測定が可能。

 さらに同計測システムは、超伝導磁気センサに使われる液体ヘリウムの収納容器として、横型デュワー構造を世界で初めて開発し、コンパクト化を実現。被験者はベットに横たわったまま検査を受けることができるようになり、患者の負担を軽減させた。またWindowsパソコン解析による簡便性など医療現場における実用性が図られている。価格は6億円。


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