[原子力産業新聞] 2000年4月6日 第2032号 <3面>

[米・NRC] 運転認可更新を初めて承認

 米国原子力規制委員会(NRC)は3月23日、メリーランド州で稼働するカルバートクリフス原子力発電所(各88万キロワット、PWR2基)に対して20年間の運転延長を承認した。商業炉の運転認可の更新が認められたのは同国で原子力開発が始まって以来初めてのこと。米原子力エネルギー協会(NEI)では「歴史的快挙」と位置づけ、米国における原子力発電が新たな幕開けを迎えたことを印象づけた。

 コンパッション・エンジニアリング社の設計でベクテル・パワー社が建設したカルバートクリフス発電所は、74年と76年に1、2号機がそれぞれ営業運転を開始。最初の運転認可は発給から40年後の2014年および2016年に切れる予定だが、今回の延長により、1号機は2034年、2号機は2036年までの操業が可能になった。同発電所の所有者であるコンステレーション・エネルギー・グループは98年4月に運転認可更新をNRCに申請した。NRCはその後、30回以上もの公聴会開催を含め、同発電所の安全性や環境に与える影響について審査を重ねた結果、同発電所はさらに20年間、安全に運転を継続できるとの結論に達したもの。

 コンステレーションーグループのC・ポインデクスター会長兼最高経営責任者は、今回の認可更新を「数干もの当社従業員が安全性と健全性および品質管理に努力した結果だ」と評価。「熟練した、技術力の高い従業員達の仕事がエネルギー産業界のなかで歴史を作った」との考えを強調した。また、E・デントン副社長は、「発電所のコンディションは上々だが、今後は連邦や州政府、地元機関による厳しい監督と定期的な審査を受けることになっており、認可された運転期間を通じて機器の改善と安全性および運転実績の向上に努力を続けていきたい」とコメントした。

 NEIのA・ハワード副総裁は「原子力産業界にとって歴史的かつ感激的な日」と表現して初の認可更新を喜ぶとともに、「これを皮切りにもっともっと多くの炉か続くはずだ」と指摘。実際にさらに6基の原子炉で認可更新申請が出されている事実に触れ、「このことはとりもなおさずカルバートクリフス発電所の優秀さだけでなく、米国原子力産業界全体の活力と強さを物語っている」と強調した。


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