[原子力産業新聞] 2000年4月13日 第2033号 <2面>

[長期計画] 策定会議、新長計の骨子案提示

夏頃に報告書案、意見募集へ

原子力委員会の長期計画策定会議(座長・那須翔東電相談役)は7日、第8回会合を東京都内で開き、森島昭夫座長代理から提出された「新たな原子力長期計画の構成(骨子)案」について審議した。

新長計策定に当たっては原子力委は、21世紀に向けての原子力の全体像と長期展望の提示や国民、国際社会へのメッセージとなるよう求めており、今回の構成案もそれに基づいたものになっている。策定会議では6月に長期計画ドラフトを示し、7〜8月にも報告書案を策定し、一般からの意見を募集する予定にしている。

構成案は、策定会議や第1分科会(国民・社会と原子力)、第2分科会(エネルギーとしての原子力利用)で議論した人類や社会経済などにおける原子力の意義等を問い直すところから論じている。まず「20世紀の原子力の研究開発利用の成果と課題」の項目を掲げ、ここでこれまでの日本の原子力開発利用を光と影という観点で分析する。続いて「21世紀社会の潮流」として、経済自由化などグローバル化、科学技術の進展、環境問題、少子化などの潮流をとり上げ、原子力との関わりを論じる。3番目には「原子力研究開発利用の意義・役割」として、人類文明、・環境・エネルギー、国民生活などの視点から改めて原子力を再評価する。こうした幅広い側面からの分析を踏まえ、「原子力開発利用の進め方」の項目で、安全確保、平和利用の堅持、信頼と安心の確保などを大前提として進め方を論じていく。

続く項目で、「国民・社会と原子力政策の新たな関係」「国際社会と我が国の原子力政策の関わり」「国の役割と民間の役割」という重要な課題について記述するとしている。

さらに「原子力開発利用の将来展開」では、「原子力発電と核燃料サイクル」「先端的研究開発」「放射線利用」「国際対応」など、各分科会で議論されたそれぞれの開発のあり方について具体的に論じていく。

この構成案については、「安全とは何か、国民合意とはどういうものか、生産者と消費者の問題にどう答えようとしているのか、きちんと対応すべき」(鳥井委員)、「原子力の三つの特徴−@膨大なエネルギーを有するA放射線を出すB核拡散の問題がある−をしっかり記述しておくことが必要」(鷲見委員)、「住民投票などの動きを踏まえ国と民間の役割をどう考えるかという視点も大切」(妻木委員)などの意見が出された。

その他、同会合では第3分科会(FBR関連技術の将来展開)と第6分科会(新しい視点に立った国際的展開)からの中間的報告が行われた。


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