[原子力産業新聞] 2000年4月13日 第2033号 <2面>

[長期計画] 第3分科会、報告書案議論

研究開発の場の中核、「もんじゅ」位置付け

高速増殖炉(FBR)関連技術の将来展開について審議している原子力委員会・長期計画策定会議の第3分科会(座長・鈴木篤之氏、西澤潤一氏)の第8回会台が10日、東京都内で開かれ、同分科会報告案および報告書に付随する提言案について審議した。

報告書案は、FBR及びこれに関連する核燃料サイクルの研究開発とそれを取り巻く現状を示し、続いて原子力開発の方向性とFBR及びこれに関連する核燃料サイクルの位置付け、核燃料サイクル研究開発の方向性・進め方について論じるとしている。

まず、FBRを取り巻く状況について、ナトリウム漏えい事故を起こした「もんじゅ」については原子力委・FBR懇談会で「FBRの研究開発を進めることが妥当」とされたこと、サイクル機構と電力を中心とした実用化戦略調査研究が進んでいることなど国内の状況、さらに欧米諸国では開発を中断している国がある一方、長寿命核種の分離変換技術の研究開発に取り組んでいる国やロシア、アジア諸国では開発に関心が高い状況を説明。また、資源に乏しい我が国ではウラン利用効率を飛躍的に高くするFBRの開発は、人類の将来の発展にとっても重要であり、国際的貢献でもあるとの見解を示している。

FBRリサイクルの開発の進め方では、現在検討している「実用化戦略調査研究」でFBRサイクルとして適切な実用化像とそこに至るための研究開発計画を早期を明示し、その結果について原子力委が評価していくよう求めている。とくに「もんじゅ」を活用した研究開発は、「FBRサイクル技術を実証する中核的役割を果たすことを期待する」としている。その中心的役割を「発電プラントとしての性能の確認」とし、実用化に向けた技術的可能性を評価する「原型炉」としての目的を達成するために、安全対策の措置を行った後に「早期に運転を再開」するよう要望している。

一方、提言案では「もんじゅ」について、原子力政策円卓会議が出している「一定期間研究開発を行った上でその処置を判断する」との見解を妥当とし、「もんじゅ」の研究開発の内容を検討することが重要としているが、今回は「一定期間」をどう考えるかが委員の間で議論となった。「5年程度とすべき」「数年間動かすだけでは地元の理解は得られない」「運転経験や基礎データの習得には20年、30年の期間は必要」など、様々な意見が出されたが、結局は発電プラントとしての信頼性など「もんじゅ」の「プライマリー・ミッション」を基に何の研究開発を行うのかということが明確にされる必要があり、その内容によって研究開発の期間が定まってくることから、鈴木座長は「国の研究開発計画の中で検討すべきである」として、あえて分科会の報告書では定めないこととなった。


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