[原子力産業新聞] 2000年4月13日 第2033号 <4面>

[NEinsight] 急激に変化する電気事業

「現状に合った税法を」

原子力発電会社の首脳は、連邦税法が追いつかないほど電気事業は急激に変化していると指摘している。

ペコ・エナジー(PECO Energy)社の会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)であるコルビン.マクニールは、昨年10月に開かれた、長期的成長と負債低減に関する上院小委員会の揚で、「そうした結果、競争的な電力市場の進展を阻害することになる税制のもとで各企業は経営を行っている」と指摘した。

マクニールは、「米国の現行の税制では、原子力発電所のデコミッショニングは税法上ユニークな保証がされており、各種税法のもとで特別に処理する認可を受けている」と語った。内国歳入庁(IRS)は、デコミッショニング基金への毎年の拠出を控除対象支出として処理している。しかし、再編された電力市場では、原子力発電所がこれまでのように規脚下で料金設定をするということでなくなれば、税の控除措置がなくなってしまう。

マクニールは議会に対し、競争的な電力市場を反映した規則をIRSが作成するよう求めた。マクニールは、議会としてはクリントン政権による電気事業再編法の成立を待っている余裕はないと指摘。今すぐに行動に移る必要があると述べた。

クリントン政権の計画

昨年、エネルギー省(DOE)のビル.リチャードソン長官によって議会に提出されたクリントン政権の電気事業再編計画は、上・下両院に提案された。財務省当局者は上院の小委員会で、「この計画によると、規制下に置かれていない電力会社は、デコミッショニング基金への拠出で控除を受けることができる」と語った。

また、財務省の租税立法顧問のジョセフ.ミクラットは、デコミッショニング基金は課税されることなく、原子力発電所を売る側から買う側へ移転されることになろうとの考えを示した。

DOEのT−J.グロウシエ副長官は、「クリントン政権としては、国内の原子力発電所は将来の電力確保にあたって重要であると考えている」と述べた。同副長官は、「原子力発電所の経済性が損なわれないようにするため、電気事業体制の再編では、こうした発電所のデコミッショニング資金を確保するという長年にわたる努力を妨げるべきではない」と強調した。

マクニールは小委員会のメンバーに対し、ペコ・エナジー社とブリティッシュ・エナジー(BE)社の合弁企業であるアマージェン社へのスリーマイルアイランド(TMI)1号機(87万2,000kW、PWR)の売却についてIRSはまだ裁定を下していないと語った。

IRSは昨年11月はじめ、TMIのデコミッショニング信託基金を非課税でアマージェン社に移転することを許可する、売却に関した非公式裁定書簡を出した。しかし、今回の裁定は今回の件に限ったものであり、税規則をそう解釈するものではない。


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