[原子力産業新聞] 2000年4月20日 第2034号 <3面>

[南ア] PBMRの詳細FS実施へ

南アフリカ共和国の内閣は12日、国画電力会社(ESKOM)が4億3200万ランド(約73億円)の予算でペブルベッド型モジュラー方式高温ガス炉(PBMR)開発の詳細なフィージビリティ調査の段階に進むことを承認した。これを受けたESKOMでは今後、同プロジェクトに関する公開審査を含む環境影響評価と実行可能性評価を来年半ば頃までに完了する計画だ。

南アでは、「出力10万キロワット程度の小型のPBMRは経済性が高いだけでなく建設リード・タイムが短く、増設も容易。さらに固有の安全性を有していて操作も簡単」との判断から93年から導入の検討を開始。ガス炉開発の経験を持つ諸外国の協力を得ながら概念設計を進める一方、開発資金を確保するため、内外から出資者を募ってきた。

昨年初頭からプロジェクトとして本格化したこの計画で、ESKOMはすでに1億2000万ランド(20億3000万円)の予算を投入。このほか、金額は伏せたままだが国営の開発金融機関である産業開発公庫が同プロジェクトに20%出資したことが昨年明らかになっている。同社でPBMRプロジェクトを担当するD.ニコルズ部長によると、ESKOM自身の出資は30%程度に留めることが長期的な目標となっており、現時点ですでに55%分の投資家を確保済み。さらに10%分の出資を募っていく考えだとしている。

PBMRはもともと南アのに開発が始められたが、PBMRの設計者の1人は昨年、「もしPBMRの経済性が実証されれば、潜在的に180憶、200億ランド^3044億〜3382億円)の輸出益がもたらされる可能性がある」と指摘した。南ア政府も、今後実施する詳細なフィージビリティ調査の結果、同プロジェクトが経済的に引き合うものであり、環境的にも適切と判断されれば、世界の発電市場の5%を獲得し、金額にして年間1000億ドル(10億4000万円)の収益が見込めると期待している。


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