[原子力産業新聞] 2000年4月27日 第2035号 <3面>

[フランス] 洪水被害で報告書

仏議会 外部リスクの再評価へ

フランスのC.ビロー議員は6日、昨年末にルブレイエ原子力発電所に多大な被害を与えた洪水事故に関する報告書を議会の技術評価局(OPECST)に提出し、国内原子力発電所における外部リスクを緊急に再評価するよう訴えた。

ビロー議員は90年からOPECSTの代表として原子力発電所の安全性に関する審査を担当しており、今回の報告では今年1月に仏原子力施設安全局(DSIN)がまとめた報告書を概ね踏襲した内容になった。すなわち、予想外の事態に正確な手順と迅速な人員配置で臨んだ仏電力公社(EDF)の緊急時対応を称賛する一方、同公社の連絡体制については率直に批判的な見解を提示している。

同議員はまず、この連絡体制を「あまりにも融通が効かない」と評価。発電所から出るすべてのプレス・リリースがEDF本部の承認を必要としたため、情報発信手順全体が圧迫を受け、情報にふるいがかけられた形になるなど悪影響が生じたと指摘した。この点についてはEDFの安全に関する連絡手続きを内部監査したキュリアン報告が同様に指摘していたことに触れ、EDF本部が事実分析の連絡をしている間に発電所から素早く事実を外部に公表できるようにすべきだと勧告した。

また、情報の透明性を確保するためにもEDFが事実の連絡と分析の区別を学ばなくてはならないとし、今後の具体的な行動戦略として次の6点を挙げている。すなわち、@EDFが現在実施中の、原子力発電所における洪水リスクの再評価結果を一般に公開し、立地地域の情報当局(CLI)と議論するA外部災害に対する多重防護の概念を拡大するB緊急時対策、特に待機人員の管理について手続きを見直すC地方における中央政府の代表である知事がCLIと協力して、県の緊急事態を宣言する必要条件について審査するDEDFはキュリアン報告の勧告に従って、連絡と分析の区別をつける必要性を学ぷECLIはこれまでどおり地元における情報公開で基本的な役割を担うほか、緊急事態には可能な限り行動的に対処する−など。


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